エンゼルス番記者が見た「大谷翔平」の凄みと今後 大谷のような二刀流選手の出現はあと100年必要

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しかし、大谷自身はもっと多くの出場機会を得ることを希望していた。転機は、大谷の故障が癒え、エンゼルスの新しいGMにペリー・ミナシアンが就任した2021年に訪れた。

ミナシアンは、エンゼルスの大谷起用法を大きく変えようとしたのだ。
「私が選手とふれた経験では、制限自体がよくないものだと思っている。特にメジャーリーガーに対しては、だ。だって、メジャーにたどり着くこと自体が偉業なのだからね」そうミナシアンは言った。

大谷選手を追い続けてきたジェフ・フレッチャー氏(撮影:尾形文繁)

大谷の起用制限を緩めることに

「肉体的に恵まれているだけでは不十分で、メンタルも強くないとここまではこられない。私の見るところ、ショウヘイはまさにそんな一人だ」

就任後の数週間、ミナシアンGMはマドン監督に対して、大谷の起用制限を緩めてみてはどうかと提言した。

大谷は新GMの案を気に入ったが、この計画がうまくいくには大谷が自身の状態についてすべて正直に話すことが必要だった。

日本にいたころの大谷の監督・栗山英樹は、大谷は疲れを自分からは絶対に認めたがらないタイプだと繰り返していた。しかし、この点について大谷はメジャー移籍後、大きく変化していた。大谷の代理人であるネズ・バレロは、「ショウヘイもつねに正直であるべきだと悟ってきたよ」と語っている。

こうして充実したスプリングトレーニングをこなし、チーム首脳との信頼関係を築いた大谷の本当の快進撃は2021年から始まった。

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