「5代目プリウス」考え抜かれた内装にも映る進化 薄く見せながらも立体的な造型で囲まれ感を演出

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もうひとつは、メーターまわり。7インチの液晶TFT画面をダッシュボードの上に設置。トヨタのBEV(ピュアEV)である「bZ4X」とも共通するデザインテーマで、目的は視線の移動をなるべく減らすこと、と説明される。

本来ならば、虚像を使ったヘッドアップディスプレイが最適なのだろうが、それはコストや部品共用化のため、見送りに。「それでもできるだけ遠視点にして高い視認性が確保できるようにしています」と、インテリアデザインをまとめた廣川氏は言う。

シートは前後席に座り心地がよい。止まっているクルマにごく短時間乗っただけなので、疲労度とか振動吸収性とかホールド性とかは判断できないけれど、「しっかり作りました」とカラーデザインを担当するトヨタのデザイナー。

「おとなのスペシャルティ」の雰囲気を室内でも

用意されるシート表皮は3種類。2種類のファブリックと、ひとつの合成皮革だ。展示車は、乗り物用素材を手がけるTBカワシマが手がける「FUSE(フューズ)」なる「上級ファブリック」(トヨタのデザイナー)が張られていた。

5代目プリウスの内装
「マチュアレッド」と名づけられたファブリック内装(写真:トヨタ自動車)

ハイテク感のある感触で、滑りにくそうだ。使っている糸は、水の汚染をしない未染色糸。糸にする段階で顔料を使って色をつけてしまうので、通常のように、大量の水を使いながら生地糸に染色する工程が省ける。

同時に、合成皮革を選んだのは、「アニマルフリーの観点と、軽量化ゆえです」と先のカラーデザイン担当者の説明。プリウスのサステナビリティ(地球環境維持)について、インテリアでも見るべきところが多いのだ。

全体のデザインとしては、3種類の黒基調のカラーを採用。そこに、「ステップライン加飾」と名づけたアクセント(赤やブルーの挿し色)を少し入れることで、「おとなのスペシャルティ」という雰囲気を室内でも出したかったそうだ。

スポーティな4ドアが欲しいひとに向けたモデルとして位置づけられている新型プリウス。運転席に座って、走りだしてみたいものだ。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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