小島慶子、私こそ持っていた「おっさん性」の正体 日本社会をしんどくする元凶がそこにある

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小島:清田さんのご著書『よかれと思ってやったのにーー男たちの「失敗学」入門』(晶文社)に詳細が載っていますが、こういう人、よくいますよね。

私の考える「おっさん性」の強い人とは、独善的で想像力に欠け、コミュニケーションが一方的、そしてハラスメントや差別に加担していることに無自覚な人です。強者には従順なのに弱者には冷たい。

中でも権限を持つ人たちに顕著です。日本では、権限のあるポジションは中年以上の男性がほぼ独占していますから、結果として中年以上の男性にこうした心性が強く現れやすいと考えています。

例えば、受容的で寛容な性質を指す「母性」という言葉は、子供のいる女性に顕著に現れやすく社会的にもそのように期待される性質なので「母」とついていますが、実際はそうした性質は子供のいない人や男性も持っていますよね。

「おっさん性」も同様に、中年以上の男性によく見られる性質だけれど、人が誰しも持っているものだと思うのです。実際、おっさん性の強い女性や若者もいます。無縁の人はいなくて、置かれた環境や自身の状態によって、強く現れたり抑制されたりするものではないかと思うんですよね。

――小島さんが定義する「おっさん性」に、当てはまってドキッとする人は多いかもしれません。

小島:そうですよね。でもドキッとしたり不安になったりする人は自身を客観視できている証拠。「自分はおっさんじゃない」と思っている人ほど、周囲からは困ったものだと思われているかもしれません。

実際に私も、自身の「おっさん性」を自覚したのは、つい最近。4~5年前でしたから。

私も、女性を若さや見た目でジャッジしていた

――自身に「おっさん性」があると気づいたきっかけは何ですか。

小島:2つあります。1つ目は、いわゆる「女子アナ」というものについて考え続けたことです。

局アナとして働いていた頃は、若さや見た目で評価されることに強い抵抗を覚えていました。同時に、期待される「女子アナ」らしさを体現できない自分に強い劣等感を抱いていたんです。ですがあるとき、それは私自身が無意識のうちに女性を若さや見た目でジャッジしてしまっているからだと気づきました。その視線を自分だけでなく、他の女性にも向けてしまっていた。

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