「アルコール」が原因で死ぬ人は想像以上に多い 米国では20〜34歳の死因の25%が飲酒がらみ

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今回の研究は、アメリカの人口動態記録データを分析し、過剰なアルコール摂取による死を2015〜2019年の5年間について特定したものだ。アルコール性肝炎など死因の一部には、過剰飲酒と完全に関連づけられるものもある。

飲酒に関連したがんや、酔いが原因の1つとなる怪我のように、すべてを飲酒と関連づけられない死因については、飲酒行動やアルコール購買行動に関する各種調査結果をもとに、過剰飲酒で死亡する割合を推定した。こうした推定には多数のデータ源に依拠した計算が必要なため、更新は数年おきにしか行われない。

いずれにしても、今回の研究結果は実際のアルコール関連死よりも数字が低めに出ているとエッサー氏は話す。アルコールが少なくとも部分的に関連している死因のすべてを網羅した分析とはなっていないためだ。

専門家も衝撃を受ける深刻度

今回の研究に関与していないウェストバージニア大学のゴードン・スミス教授(公衆衛生研究)は、何十年にもわたってアルコールの影響を研究してきたが、その被害の大きさにはあらためて衝撃を受けている、と話す。「アルコールが大きな問題であることは知っていたが、(今回の研究は)問題の大きさを具体的に確認したことに意義がある」。

スミス氏は今回の研究の功績として、さまざまな死因について過剰飲酒の影響を測定する方法を見いだした点を挙げる。「アルコールが(死因となる)ほかの条件にどれだけ関連しているかを推計したものとしては、おそらくこれまでで最も正確だ」。

アルコールは防ぎうる死因の代表的なものだが、タバコや薬物の影にかすむことが多い。アメリカでは、アルコールが健康にもたらす害は深刻さを増している。10年近く前に行われた研究では、働き盛りの年齢で死亡した人のうち飲酒が原因だったものは10人に1人にとどまっていた。もっとも、研究手法はその後変化しており、今回の研究結果と単純比較することはできない。

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