イラクは、廃棄兵器で「イスラム国」と戦う 廃棄場の兵器を修理して使用

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フセイン政権時に軍に在籍していたスカイニさんは現在65歳。息子たちと一緒に旧式装甲車を修復し、シーア派民兵組織に提供する仕事に取りかかった。シーア派民兵組織は現在、フセイン元大統領の出身地であるティクリートをイスラム国から奪還すべく戦っている。

スクラップ場から最前線へ

スカイニさんの仕事場は、イラク南端の港湾都市バスラから約10キロ離れたハルサにある。「ティクリートとサマラの最前線では、(シーア派民兵組織である)ハシド・シャービの戦闘員の多くが装甲車不足のせいで命を落としていると聞き、このアイデアを思い付いた」と語る。ハシド・シャービは「人員動員」を意味する。

イラク軍とともにイスラム国との戦闘に参加するシーア派民兵組織は、寄せ集められるだけの武器や装備で最前線に立っている。そうした武器などの多くは、シーア派の隣国イランから供与されたものだ。

鉄をたたく音が鳴り響くスカイニさんの仕事場で修理チームを率いるのは、31歳になる息子のハイサムさん。父親の長年の経験が、車両の修理だけでなく、独自の改良を加えることも可能にしているという。

「兵員輸送装甲車に23ミリ機銃を取り付けて攻撃車両に変えた。いつでもティクリート近郊の最前線で使える」と語った。

翌日、車両はシーア派民兵組織の1つ「アリアクバル旅団」が活動するサマラ近郊に送られた。修理チームは現在、さらに3台の作業に取りかかっている。

(Aref Mohammed記者、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)

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