簡単ではないゲーム、「VALORANT」が人気の秘訣 ライアットゲームズ日本法人のトップに聞く

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日本のPCゲーム市場は欧米や韓国に比べるとそこまで大きくはない。市場の大半をコンソールとモバイルが占めている中、日本チームが世界3位になったのは人口比から考えると歴史的快挙だと思う。

VALORANTはゲームへのコミットメントが必要だが、その先のeスポーツの勝ち上がっていくと世界で活躍する舞台がある。そこは、ほかの家庭用ゲーム機のパブリッシャーやデベロッパー(開発元)との違いだというプレイヤーからの声もある。

――人気の背景には、ストリーマーやeスポーツの存在が大きいのですね。

佐藤われわれのゲームの特徴はプレーすることの難しさがある。そのため、楽しいと感じるレベルに到達するのにはほかのゲームに比べて時間がかかると思う。

その中で、「ゲームをプレーをしている●●が好き」とオフラインイベントでネオンを持って応援しているファンの様子はほかのゲームではあまり見られないのではないか。ゲームで高いパフォーマンスを示すプロ選手に抱く好意やリスペクトは、ほかのゲームに比べても大きいだろう。

屋外広告では「情報量」が足りない

マーケティング面ではいかにユーザーがゲームの情報に触れるタッチポイントを増やしていくかが重要だ。VALORANTのゲームだけではなく、放映(ゲーム実況やeスポーツ大会)を通じて得られる情報は多い。

屋外広告などをあえて使わないのは、一定量の情報がないと伝わらないからだ。放映や大会での情報を大きいものから細かいものまですべてカバーして、初めて見ている人がプレーしたいと思える。

――ゲーム、eスポーツ、配信が一体となった運営なのですね。

藤本:League of Legendsもそうだが、われわれは競技性の高いゲームを長く楽しんでもらうためのバランス調整、パッチ(プログラム修正)のリリース、ゲームのアップデートなどを通じて、その時点でベストな体験をできるようにしている。

10年以上運営しているLeague of Legendsは常に新しいものを提供しつつ中身自体は変わらない運用の妙みたいなところがある。ゲームを荒らしてくるチーターへの対策など、プレーする環境に対する強いコミットメントを持っている。

そして、eスポ―ツ運営もゲームと繋がっている。そうでないと大事な時間をゲームに使ってもらう理由が見いだせなくなる。だから、われわれはeスポーツを作り上げるし、世界大会イベントも開催する。日々プレーする環境と周辺領域の整理をロングタームで考える思想は、ほかのゲームとは違うかもしれない。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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