介護報酬カットで「職員の処遇悪化」の懸念 職員労組が「介護労働110番」を実施

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「介護労働110番」は2007年に実施して以来、8年ぶりに行う(写真は開始当初の様子)

介護職場の労働者らで組織される東京介護福祉労働組合は3月15日に、「介護労働110番」を実施する。4月に実施される介護報酬のマイナス改定を前に、給料や労働条件悪化、上司によるパワハラなど、同僚や他人に言えない悩みを抱える職員からの電話相談に応じる。労組の委員長を初めとした5~6人体制で対応する。

要介護高齢者の増加により、介護保険の給付費総額(支出総額)は年々増加を続けている。支出総額は2000年の介護保険制度スタート時の約3兆6000億円から、2014年度には10兆円近くに達する見通しだ。

介護報酬は4月から大幅カット

それに伴って、3年おきに改定される保険料も2000年度の月2911円(全国平均)から2012~2014年度の3カ年では4972円に急拡大している。このままでは「団塊の世代」の多くが後期高齢者(75歳以上)に到達する2025年度までに、さらに支出総額や保険料のアップが避けられない。

厚生労働省はその伸びを抑制するために4月からの介護報酬全体を過去2番目の下げ幅となるマイナス2.27%分引き下げる。その一方で、介護職員の処遇改善のための加算措置を拡充するとしている。具体的には、仕事の内容や職責に応じたキャリアパスの整備、賃金以外の処遇改善の取り組み実施など一定の条件を満たした介護事業所に対して、職員1人当たり月1万2000円相当の加算を新たに設ける。

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