サッカーW杯、過去との違いは代表拠点の知見集積 事前合宿期間が短い今回は日本にとって有利か

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同施設はピッチ状態が非常によく、選手たちにも好評だったが、施設の老朽化や脆弱さという課題を抱えていた。監督・スタッフ・選手が集まって映像を使ったミーティングを実施したり、メディカルケアをする場所もなかったため、彼らは宿泊先である幕張のホテルに戻ってから全てを行わざるを得なかった。当時は香川真司(シントトロイデン)や乾貴士(清水)ら主力級がケガで別メニューを強いられていたが、彼らもリハビリなどに苦労する様子を見せていた。

しかし、夢フィールドがオープンした2020年以降は多くの問題が解消され、選手たちも最高のトレーニングと休養・ケアが可能となった。

同拠点には、天然芝ピッチ2面、人工芝ピッチ2面に加え、フットサルアリーナ(室内練習場)、ビーチサッカーピッチとJFAの各代表チームが使える施設がズラリと並んでいる。

もちろんクラブハウスもあり、1階には選手のロッカーやバスルーム、メディカルルーム、トレーニングジムなどがあり、通常のマッサージなどのケアのみならず、疲労回復を促す温冷交代浴、炭酸泉風呂などが設置されている。

さらには、クライオセラピーと呼ばれるマイナス130~マイナス180℃の空間に入って急速リカバリーを行う最新鋭器具も利用可能。これは選手にとっての強い味方になっている模様だ。

冨安健洋
夢フィールドで練習する冨安健洋選手(筆者撮影)

過去に一度でも代表活動に参加したことのある選手は、代表活動期間以外も夢フィールドを利用していいことになっている。このため、夏や冬のオフ期間に一時帰国している欧州組などもコンディション調整に活用している。

成田・羽田両空港から近く、宿泊先としてメインに使われている幕張のホテルからも徒歩圏というメリットを生かし、帰国直後にここにやってきてリカバリーに励む選手もかなりいるという。

実際、今年6~7月にも吉田麻也(シャルケ04)や堂安律(フライブルク)や久保建英(レアル・ソシエダ)らが自主トレを実施。彼らがベストな状態を維持するうえで、今や不可欠な環境となっているのだ。

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