奈良線は近鉄にとって、母体である大阪電気軌道(大軌)が1914年に開業させた歴史ある路線だ。当時、大阪と奈良を結ぶ鉄道は、すでに現在のJR関西本線(大和路線)とJR片町線(学研都市線)にあたるルートが開通していたが、大軌は旧生駒トンネルを開通させることで、阪奈間の距離をぐっと縮めた。日本初の標準軌複線のトンネルだったが、建設費が負担となって経営難に陥った話は有名だ。
その後、経営は軌道に乗って現在に至るまで近鉄のドル箱路線となっている。朝夕には有料特急が運行されていて、午前中は大阪方面、夕方以降は奈良方面への着席需要に対応する。特急には「ひのとり」や「ビスタカー」「アーバンライナー」のほか、「伊勢志摩ライナー」まで登場し、乗車時間は約35分と短いがさまざまな車両が活躍する。
近鉄奈良線と観光特急「あをによし」
前へ
-
帰宅ラッシュ時の大阪難波駅に入線した
観光特急「あをによし」(記者撮影)
-
ツアー参加者はわずかな時間で乗車する
(記者撮影)
-
特急号車表示には「貸切」
(記者撮影)
-
帰宅時間帯の各駅を通過
(記者撮影)
-
複々線区間で快速急行青山町行きが抜いていく
(記者撮影)
-
府道2号中央環状線の付近を通過
(記者撮影)
-
あをによしを夜間に運行するのは初めて
(記者撮影)
-
夜景がきれいな区間を走る
(記者撮影)
-
車窓には大阪平野の夜景
(記者撮影)
-
2号車のカウンターも営業中
(記者撮影)
-
2号車のサロンシート
(記者撮影)
-
近鉄奈良駅では駅員が横断幕で歓迎
(記者撮影)
-
近鉄奈良駅に停車中。1号車の車内
(記者撮影)
-
近鉄奈良駅を出発。夜の平城宮跡を
走り抜ける(記者撮影)
-
ライトアップされた第一次大極殿
(記者撮影)
-
復路のあをによしの車内
(記者撮影)
-
復路は車内の照明を落とした
(記者撮影)
-
普段とは異なる車窓が楽しめた
(記者撮影)
-
大阪上本町駅に到着したあをによし
(記者撮影)
-
ダイヤの都合で大阪上本町駅が終着
(記者撮影)
-
通常は地上ホームに入ることはない
(記者撮影)
-
夕方の石切駅付近からの眺め
(記者撮影)
-
石切駅付近から見た夜景
(記者撮影)
-
特急や通勤電車が行き交う
(記者撮影)
-
とくにビスタカー2階席からの眺めはよさそうだ
(記者撮影)
-
大阪平野の夜景
(記者撮影)
-
あべのハルカスも望める
(記者撮影)
-
夜景をバックに勾配を上がっていく電車
(記者撮影)
-
坂の途中の額田駅
(記者撮影)
-
午前中の大阪平野の眺め
(記者撮影)
-
回送列車含めさまざまな車両が見られる
(記者撮影)
-
あべのハルカスは日本一高い超高層ビル
(記者撮影)
-
勾配を上がっていく電車
(記者撮影)
-
カーブをこなして奈良方面(奥)へ走る
(記者撮影)
-
上空から見た生駒山地。奈良線は右下の瓢簞山駅付近で
大きくカーブを描く(記者撮影)
次へ
-
12月17日のダイヤ改正では平日朝に大和西大寺発・大阪難波行きのひのとりを増発。あをによしは京都―奈良間が1往復増え、大阪難波行きは京都発が16時台に繰り下がる。とくに冬場は日の入り後の大阪平野の眺めが楽しめそうだ。
夜景を売りにする路線
日本の「三大車窓」と言えば、北海道の旧根室本線狩勝(かりかち)峠、長野県の篠ノ井線姨捨(おばすて)駅、肥薩線の矢岳越えとされる。狩勝峠は新線への切り替え、矢岳越えは2020年の豪雨災害で不通となっており、いまは車窓として楽しむことができない。
一方、姨捨駅は健在で、夜景観賞など善光寺平の眺望そのものが付加価値となっている。JR東日本は2017年、クルーズトレイン「トランスイート四季島」の登場にあわせて、立ち寄り駅となる同駅に展望ラウンジを整備した。臨時列車「ナイトビュー姨捨」「リゾートビューふるさと」のほか、しなの鉄道の観光列車「ろくもん」も乗り入れる人気の駅だ。
今回の近鉄のツアーは、あをによしで初の夜間運行となるだけに、復路では夜景区間で車内の照明を消してみるなど、ツアーの最中にも改良が加えられた。鉄道各社はユニークな貸し切り列車で集客策に知恵を絞っている。お隣の神戸はかつて「100万ドルの夜景」を売りにしていて、のちに「1000万ドル」をうたうようになった。近鉄奈良線の夜景のように観光資源は意外と近くのドル箱に眠っているのかもしれない。
著者フォローすると、橋村 季真さんの最新記事をメールでお知らせします。
著者フォロー
フォローした著者の最新記事が公開されると、メールでお知らせします。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。
はしむら きしん / Kishin Hashimura
三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら