セミナーレポート

サブサハラ地域におけるゲートウェイ ―南アフリカを起点としたM&A戦略と事業展開の展望―

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【講演2】
「INVESTMENT
ENVIRONMENT&OPPORTUNITIES」

南アフリカ貿易投資庁 副次官代行
ユヌス・ゴーラム ホーセン 氏

ユヌス・ゴーラム・ホーセン氏は、南アフリカ貿易投資庁副次官代行としての立場から、同国の優位性を解説。地理的なアクセスの良さや積極的なインフラ開発、政治的に安定していることなどを挙げ、アフリカの中でも最も魅力的なマーケットがあることを主張。ワールドエコノミックフォーラム・世銀のビジネスしやすさランキングで、南アフリカの投資家保護や競争力を高く評価。また、ファ
イナンスや法体制においても国際的に高い評価を受けていることを語った。

さらに、国内に10の経済特区があり、税制面での優遇や豊富な天然資源を享受できることをアピール。アフリカ成長機会法により米国市場へ、経済連携協定によりEU市場へ無税の市場アクセスも可能。また、さまざまなアフターケアが用意されていることも力説し、現地企業との協業等、日本企業の積極的なビジネス展開を呼びかけた。さらにアフリカ地域統合や3つの地域経済ブロックの統合による経済自由貿易協定により、6億人の消費者にアプローチできると語った。

【講演3】
「サブサハラ・アフリカにおける
M&Aトレンドと留意事項」

KPMG南アフリカ シニア・マネジャー
會田 浩二 氏

ヨハネスブルグにて日本企業の現地ビジネスサポートに従事する會田浩二氏は、アフリカにおけるM&Aの現状を解説。産業別では通信・メディア・技術産業が件数、金額ともに伸びが著しいと語った。また、南アフリカにおけるM&Aを行う際に考慮しておくべき事項として、広範な法規制やさまざまな税制の存在、ストライキなどの労務問題、複雑な所有構造、高い技能を持った現地の人材の不足、エネルギー不足などを挙げた。

アフリカには域内でのM&Aを積極活用して事業を拡大している会社が数多く存在し、そのような会社が欧米・アジアの企業の買収ターゲットとなっている。今後の買収のターゲットとして、主にナイジェリア・ケニア・南アフリカの企業が、製造・資源・コンシューマー製品等の分野で増加し、また、買い手としてASPAC地域からの投資が、最も活発になるだろうとのアンケート結果を紹介した。

【講演4】
「南アフリカにおけるM&A:
南アフリカへ、そして、南アフリカから
サブサハラアフリカへ」

西村あさひ法律事務所パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士
中山 龍太郎 氏

弁護士の中山龍太郎氏は、法的な観点から南アフリカ企業買収のスキームを解説。留意点として、BEE制度(アパルトヘイトによって固定された経済的格差是正のために設けられた黒人経済振興政策)を前提として買収スキームを策定する必要性を強調。また、労務対応や海外親会社への送金にあたっての留意点のほか、M&A契約における紛争解決手段として仲裁が選ばれることが一般的であることなどを解説した。

さらに、南アフリカを起点としてサブサハラアフリカへ投資する際には、南アフリカの外国為替規制等を踏まえて投資スキームを構築すること、またコンプライアンス対応として、汚職防止規制対策、労使紛争を調べておくことが重要であることを強調した。

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