実は窮地の米共和党、「政権奪還」は遠い夢 党内保守派が軟化路線を拒否

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共和党幹部には、自分の言動が政権奪還の可能性にどう影響するか考えない党員が多すぎる。

新しい議会の最初の数週間で下院は、金融危機の再発防止のため消費者保護などを強化したドッド・フランク法を縮小する法案を通過させた。オバマケア法(医療保険制度改革)のかなりの部分を取り消す多くの提案も未審議のままだ。

さらに上院は、カナダのオイルサンドから米国への、石油精製および輸送のための1179マイル長の導管となるキーストーンXLパイプラインを大統領に承認させるための法案審議に数週間を割いた。大統領は、パイプラインは環境を破壊するおそれがあるとして、事前通告どおり拒否権を発動した。共和党はパイプラインに反対する民主党を、雇用や国家安全を顧みない非生産的なエリート主義と呼び、優勢に立とうとするだろう。

しかし、500万人もの不法移民を強制送還から保護する移民制度改革に反対する下院の共和党員の動きは、党幹部たちの最大の悩みの種と化した。16年には多くのヒスパニック票が必要だからである。大統領令を差し止めるテキサス州の連邦地方裁判所判事の最近の判決(オバマ政権はこの件で上訴中)は、反移民勢力がどんなに喜ぼうとも、共和党にとって助けとはなっていない。

党に仕掛けたワナ

同じように、2014年12月に下院の共和党員は、反移民条項を追加できるよう、国土安全保障省(DHS)の財源をほかのすべての政府機関に融資している法律から切り離すよう求めることで、党にワナを仕掛けた。

2013年に超党派の移民法案を可決した上院は反移民を認めないだろう。共和党が下院の党員を制御できなかったために、テロの脅威が増大するときにDHSが閉鎖となることへの責任が生じてしまったのだ。事態打開のために、マコネル党首は別の法案で対策を提示した。

最初の数カ月で、共和党は大きな法案を何一つ通せず、重要な政府機関の運営を妨害するかもしれない。マコネル党首たちが進みたくなかった方向へと、この党はまさに向かっているのである。

週刊東洋経済2015年3月14日号

エリザベス・ドリュー ジャーナリスト

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エリザベス・ドリュー / Elizabeth Drew

近著に『ウォーターゲート事件とニクソン失脚に関するリポート』がある

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