湘南モノレール「ピンクの車両」が担う重大な使命 乳がん撲滅「ピンクリボン運動」を1年中啓発

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――受診率46%でも、まだ低いのでしょうか。

受診率が50%を超えると死亡率の上昇が横ばいになると言われているのですが、残念ながら頭打ちの状況になっています。検診に来る方の8割くらいはリピーターで、来る人は来るし、来ない人は来ないというように二極化してしまっているのです。この状況を改善するには、やはり10代、20代の若い人たちをしっかりと教育して、40代、50代の乳がん発症世代になったときに、検診に行くのが当たり前という世の中にすることが一番だと思っています。

私は毎年、鎌倉女子大や慶応大の湘南藤沢キャンパス(SFC)などにうかがい、ブレスト・アウェアネス(自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、意識して生活すること)の観点から講義をしていますが、これは正規のカリキュラムによるものではなく、たまたま乳がん啓蒙に関心を持ってくださる先生が、好意で時間をくださっているのです。

大変ありがたいことですが、効果は限定的と言わざるをえません。できれば中学・高校の保健体育の時間に自分の身体について知る一環としてブレスト・アウェアネスを取り入れていただきたいと思っています。乳がんは身近な病気であるとともに、早期に発見すれば根治する可能性が飛躍的に上がるのですから、ぜひ厚労省、文科省の皆さんにも検討していただきたいですね。

「1年中走っている」啓発効果

――湘南モノレールのピンクリボン号には、どのような効果がありますか。

効果は大きいですよ。毎年、10月はピンクリボン月間ですので、各地で建物をピンク色にライトアップするなど、さまざまなイベントが行われます。もちろん、これらのイベントにも一定の効果はありますが、どうしても一過性のものに終わってしまいます。ところが、ピンクリボン号は1年中走っているので、乗るたびに「あっ、検診に行かなくちゃ!」「お母さん、ちゃんと検診行ったかな?」と思い出してもらえるのです。湘南モノレール沿線には湘南白百合学園がありますが、ピンクリボン号に乗車している学生さんが、実際にそういう発言をしてくれているのを聞くことがあります。

ピンクリボンマーク
車体側面にあしらわれた大きなピンクリボンマーク(筆者撮影)

うちの病院の病室からも、ピンクリボン号が走っているのがよく見えるので、「今日も走っているね!」と、皆で眺めています。患者さんたちにとってもスタッフにとっても、とても大きな励みになっています。

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