チャン・イーモウ監督が新作に込めた想い

「文革を題材にするのはいまだタブーです」

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中国が誇る名匠チャン・イーモウ監督の最新作『妻への家路』が3月6日より全国公開されている。スティーヴン・スピルバーグが「パワフルで深い。涙が止まらなかった」とコメントし、カンヌ国際映画祭、トロント映画祭をはじめとする13の映画祭でも、万感込められた拍手で称えられた作品。『紅いコーリャン』『秋菊(しゅうぎく)の物語』『活きる』など数々の名作を世に生み出したかつてのミューズ、コン・リーとの久々のタッグが復活。それぞれに豊かなキャリアと人生を重ねてきた2人が原点に返った感動作となっている。 
1977年、文化大革命が終結し、20年ぶりに解放された陸焉識(ルー・イエンシー)は妻の馮婉玉(フォン・ワンイー)と再会するが、待ちすぎた妻は心労のあまり、夫の記憶だけを失っていた。焉識は他人として向かいの家に住み、娘の丹丹(タンタン)の助けを借りながら、妻に思い出してもらおうと奮闘するというストーリーだ。
チャン・イーモウ監督に、本作に対する思い、そして監督デビューを果たした30代の頃の思い出などについて聞いた。

高倉健さんから「自分の知る映画の世界に戻ったね」と

――文化大革命(文革)に翻弄される人々を描いた物語、という意味では、チャン監督の初期作品の数々を思い出させます。まさに原点回帰の映画ではないかと思うのですが、なぜこのようなモチーフの映画を撮ろうと思ったのでしょうか?

この映画を撮ったことで、まさに昔に戻ったような感じがしています。ですから、一番シンプルで素朴な物語に挑戦しました。ただ、あえてそうしたというよりは、たまたま感動した小説の時代背景が文革の時代だったということがあります。

文革の時、私は16~26歳でした。ちょうど自分の成長期と重なるので、永遠に忘れられない時期でもあったのです。この小説を読んだときに自分の琴線に触れていたので、どうしても映画化しようと思った。実際、今の中国ではこういう映画は少数派となっています。というのも、今の中国映画は興行収入が重視されるようになり、娯楽よりの作品が増えているのです。それと若い人がこの時代のことを知らないということもあり、こういう題材を映画化するのが難しくなっているという背景もあります。

3月6日公開の『妻への家路』(撮影:今井康一)

実は去年の8月に、高倉健さんがこの映画を観てくださったんです。日本語字幕は入っていなかったんですが、友人がその場で訳して、だいたいの意味を伝えてくれました。その時、高倉さんも『自分の知っている映画の世界に戻ったね。すごく感動した』とおっしゃってくださったそうです。

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