日本株を買う今年最後のチャンスがやって来た 日経平均株価の「戻りのメド」はいくらなのか

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さて、成長株であるNASDAQ(ナスダック)総合指数は10月に入っても年初来安値を更新するなど、アメリカ株の下落は厳しいものがある。それに比べると、日経平均株価は比較的底堅く推移しているのはなぜか。
前述のとおり、日本株はアメリカ株と比較して予想PERなどの企業価値評価が低いことが底堅い理由のひとつだ。実際、日米のPERを比較すると、日本株の収益面での割安感が際立つ。

過去10年間の12カ月先の予想PERの推移(9月末現在)をみていくと、日本株(TOPIX)はおおむね11倍から15.5倍のレンジで推移しており、足元は約11.5倍と下限レンジにあり割安感がある。一方、アメリカ株(S&P500種指数)はおおむね14倍から19倍のレンジで推移しており、足元は約15倍台と下限レンジにあり割安感がある。ここから年内は日米双方の株価がともにリバウンドする可能性もある。

それでも海外投資家が日本株を買わない理由

それにしても、日本株が割安だと認識されているにもかかわらず、日本株の「制空権」を握る海外投資家(日々の売買シェア70%、株主比率は30%)はなぜ日本株を買わず、この数年売り越しているのだろうか。理由は以下のように複数ある。

① 日本株は世界の景気循環の影響を受けすぎる景気敏感株と認識されており今は逆風だ
② 岸田政権の「新しい資本主義」は、成長戦略を掲げたアベノミクスに比べ魅力に乏しい
③ 株主還元・企業統治改革が進展していない、遅い
④ 企業と投資家のコミュニケーションが悪い。日本では「大企業」の扱いでも世界レベルでは大企業とは言えない企業も多く、投資対象になりにくい

といった具合だ。

次ページ中長期で日本株が上昇を継続するには?
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