ジャムコは仙台整備工場が被災、復旧のメド立たず【震災関連速報】

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ジャムコは仙台整備工場が被災、復旧のメド立たず【震災関連速報】

航空機用内装品の大手で航空機のスペアパーツ・機器製造や整備も手掛けるジャムコは、宮城県の仙台空港隣接地にある仙台整備工場(宮城県岩沼市)が東日本大震災に被災し、損害が発生した。仙台整備工場は海のすぐ近くにある。

地震の揺れに加え、津波による浸水のため、工場の建物・設備のほか、受託整備中の航空機も損傷を受けた。建物や格納庫が冠水した状態にあるため、損害の詳細な状況は不明で、復旧のメドも立っていない。地震発生時に工場内にいた従業員140人弱は、建物の上層部や屋上などに避難したため、津波に流されることなく全員無事だった。周辺一帯が水浸しとなり、一時孤立したものの、翌日に救助されている。

損害額は現時点で不明だが、仙台整備工場の土地・建物は自社所有であり、損害額を今2011年3月期決算に特別損失などとして計上することになりそうだ。また、受託整備中だった航空機については、ジャムコや顧客の入っている保険でカバーされる可能性が高いものの、負担割合はこれから協議して決めることになる。

仙台整備工場は、同社の航空機整備部門の中核工場で、顧客は海上保安庁や警視庁、航空大学校といった官公庁が中心。同社には仙台のほか、羽田や成田、帯広、宮崎に航空機整備部門の事業所がある。このうち、帯広、宮崎は航空大学校向け専門の拠点だ。また、整備用の機材や部品は仙台に集中的に保管しているため、「すぐに他の事業所で業務をカバーすることはできない」(同社)と言う。

なお、同社では昨年、近隣の名取市に土地を取得しており、ここに11年4月着工、同12月稼働予定で航空機器を製造する新工場を建設する予定。新工場用地は海から遠く、浸水はしていないもようだが、地面の状況が現時点では不明で、「着工は遅れる見込み」(同社)と言う。ただ、工期を短縮し、稼働時期は12月に間に合わせたい意向だ。

(柿沼 茂喜 =東洋経済オンライン)

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