「クレイジージャーニー」復活に期待してしまう訳 不適切演出と放送倫理違反の不祥事乗り越えた背景

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では、制作サイドの不祥事によって「放送倫理違反」とされた番組が、なぜ復活できたのでしょうか。再開前にあらためて番組の特徴や魅力を掘り下げていきましょう。

復活初回に“ダブルエース”が登場

復活1回目の放送では、危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスさんと奇界遺産フォトグラファー・佐藤健寿さんが登場しますが、「『クレイジージャーニー』のダブルエース」とも言われるこの2人こそ番組の魅力を体現する存在。

今回、丸山ゴンザレスさんはコカインの密輸ルートを取材し、「殺し屋のアジトに初潜入する」という際どいシーンもあるそうです。一方の佐藤健寿さんは世界最北端のゴーストタウンへ。旧ソ連時代の生活風景などの不思議な世界観を撮影するようです。

丸山ゴンザレスさん自身が「TBSさんは大丈夫ですか?」と同行スタッフを気づかうほどの旅であり、視聴者は「スタジオにいて、放送できているということは、大丈夫だったのかな」と思いながらもドキドキしてしまう。一方、佐藤健寿さんの旅は、「美しい」「神秘的」「奇妙」などの風景に言葉を失うとともに、その地域の歴史背景を学ぶ楽しさがある。

ともに「他の番組では見られない」「ネット上では見られない」という映像であり、それを子どものように目を輝かせて追い求めるクレイジージャーニーたち自身も、他のコンテンツでは見られない当番組ならではの存在。また、人々の想像を超えるほどクレイジーな旅に同行するスタッフも「怖い」「危ない」「わからない」などのハイリスクな仕事であり、それが視聴者にも伝わるからこそ支持を集めているのでしょう。

丸山ゴンザレスさんと佐藤健寿さんだけでなく他のクレイジージャーニーたちも、ディープ、マニアック、デンジャーなテーマが多かっただけに、これまでは深夜帯で放送されていました。しかし、今秋から幅広い世代が見るゴールデンタイムで放送されることで、「内容がマイルドになってしまうのではないか」と不安視する声もあがっていましたが、初回の人選と旅の内容を見る限り、心配無用ではないでしょうか。

次ページ人々の間で「旅」のモチベーションも上がっている
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