大手食品スーパーが「昭和な八百屋」開業の深い訳 オオゼキが地域の商店街で新業態を開発のなぜ

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大型スーパーに比べれば、1品目あたりの品揃えも少な目。それでも旬の栗は3種類あった(写真:筆者撮影)

確かに並べられた品物は高品質で鮮度抜群。ふつうのスーパーでは高価格帯の品物が半額で買えるイメージだ。だが、これはオオゼキでは当たり前。

一方、店が狭いために、品ぞろえは少なめ。1つの野菜1つの果物ごとに、不必要なぐらいに何品種もそろえている、筆者が思うオオゼキ最大の魅力が失われていると感じてしまった。

「圧倒的なコスパを武器に、都心の住宅密集地で勝負する新業態か。それとも、従業員教育の場なのか? ほかにも何か裏の意図があるはずだ」

ナゾを解明すべく、責任者に開店セールが一段落したタイミングで取材を申し込んだ。

大関屋青果店出店の意図は?

大関屋青果店オープン初日のメンバー。後列左から2人目が伊藤さん(写真提供:大関屋青果店)

青果専門の新業態出店プロジェクトを起案し、実行責任者として陣頭指揮を執っているのは、青果部門部長の伊藤一さん。18歳でオオゼキに入社して以来、青果部門一筋。乾物と青果で始まった大関屋の創業者から、直接指導を受けた世代だ。

伊藤さんはこう切り出した。

「弊社は八百屋から始まりました。魚屋でも肉屋でもないんです。おかげさまで最近では魚売り場も人気を集めていますけど、青果担当としては青果売り場こそが特別。オオゼキといえば野菜と果物。この自負を、大関屋青果店の屋号とこの店に込めています」

とはいえ、総面積が15坪で売り場面積は13坪。古い商店街の角地の空き物件に入居し、所狭しと段ボールを並べ積み上げただけの素朴な店舗だ。新しさを感じないどころか、もう40~50年は営業を続けてきたかのようなレトロな佇まいなのだ。

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