「ハラスメント包囲網」が職場に生み出す残念な溝 女性への無意識の思い込みが問題をこじらせる

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「年齢が上」「キャリアが長い」「上司」という要素は、現代のビジネスシーンにおいて自分が相手よりも「上位のポジションにいる」という意味にはなりません。

マーケットは刻々と変化し、かつての勝ちパターンはあっという間に古いものになる。「上司」は単なる役割にすぎないのです。それにもかかわらず従来のヒエラルキーを踏襲した考え方を持ち続けていると、ふとした拍子にボロが出ます。

話を聞いてみると「ギャップ」が解消される

せっかく自分とは異なる世代を生きてきた違う価値観や発想の持ち主が目の前にいるのですから、自分自身の成長のためにも話を聞かない手はありません。目の前の部下がどんな道を歩んで今のキャリアを選び、どんな将来像を描いていて何に喜びを感じたり悩んだりしているのか──。

聞いてみた結果、自分と同じような考えを持っていることや、自分の課題に気がついたりして、結果的にジェネレーションギャップやジェンダーギャップが解消されることもあるでしょう。そうして部下の話をしっかり聞く中で、それまで知らなかった能力を発見したり、アイデアが生まれたりすることもあるかもしれません。

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自分と異なるバックグラウンドの持ち主だからといって必要以上にマウントをとったり、恐れたりする必要はありません。耳を傾け、態度をよく見て「判断」するのではなく「共感」する。シンプルですが非常に効果的で、簡単に思えるけれど案外できないのが「傾聴」なのです。

長年培われてきた「無意識」を自分で矯正するのはなかなか難しいことですが、自分が「当たり前」だと思っていることをほかの人にとっても「当たり前」と思っていると、思わぬところに落とし穴が待っています。政財界の名だたる方々なら直接国民に非難されて改善するチャンスもあろうというものですが、一般的な男性管理職は自分で気づかぬうちに女性部下からの評価を下げている場合もあります。

「部下の話を同じ目線で聞く」それだけで、上司への信頼度は格段にアップするはずです。

下河辺 さやこ 小学館 ユニバーサルメディア事業局コンテンツ事業推進センター

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しもこうべ さやこ / Sayako Shimokobe

1973年生まれ。小学館 ユニバーサルメディア事業局コンテンツ事業推進センター/小学館 ビューティ・プロジェクト Powered by 美的ブランド室 プロジェクト・マネージャー。雑誌『AneCan』、『Oggi』、『Domani』、『Precious』副編集長を歴任。雑誌編集&Webメディア構築に携わりながら、2020年3月、一橋大学大学院でMBAを取得。同社のビジネス・ディベロップメントを担う同セクションへ。2019年より日本テレビ系列『それって!?実際どうなの課』に出演中。自身の気づきを格言にしてInstagramで発信した「sayagoroku」が働く女性たちからの支持を集める。

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