日本ハム「きつねダンス」が生んだ"本当の価値" 応援が制限された球場でも簡単に参加できる

✎ 1〜 ✎ 138 ✎ 139 ✎ 140 ✎ 最新
拡大
縮小

「きつねダンス」で興味深いのは、パフォーマンスにあれほど熱心な新庄監督が、興味を示していないように見えることだ。新庄監督にとっては「自分のアイデア」がすべてであり、チアガール部門の責任者が考案したとされる「きつねダンス」に、あとから乗っかるのはよしとしなかったのだろうか。しかし、そのことで微妙な空気が流れつつある「新庄日ハム」のイメージと「きつねダンス」が切り離された感がある。

清宮幸太郎や、エースの上沢直之、杉谷拳士などは、このダンスが本当に気に入ったようで楽しそうに体を動かしていた。多少なりともチームの空気が軽くなったかもしれない。

来年からは新球場「エスコンフィールド北海道」

北海道日本ハムファイターズは2003年に東京ドームから札幌ドームに本拠を移して以来、高い球場使用料を支払い続けてきた。しかも指定管理者になることができず、場内の物販や広告収入も十分に得ることができなかった。

札幌ドームを運営する札幌市など第3セクターによる運営会社は終始強気で、折り合いをつけることができず、話し合いは決裂、球団、日本ハムグループは札幌近郊の北広島市に用地を確保し、新球場を建設した。来年からは、この「エスコンフィールド北海道(ES CON FIELD HOKKAIDO)」が日本ハムファイターズの本拠地となる。

筆者は6月に日ハム戦を観戦した折に、新球場も視察したが、野球だけでなく物販や飲食、宿泊、レジャーまで備えた「ボールパーク」の壮大なスケール感に圧倒された。

新庄監督の続投が決まった日本ハムは、来季、この球場で開幕戦を迎える。戦力補強は急速には進まないだろうから、ペナントレースはどこまで期待できるかわからないが、この真新しいボールパークで見る「きつねダンス」は、清新な魅力でファンを喜ばせることだろう。

願わくば「きつねダンス」の「もうちょっと見たい」と思わせる「舌足らずの魅力」のようなものはキープしてもらいたい。1試合で何度も踊るとか、いろんなバージョンを作るとか、こだわりが「悪乗り」になればすぐに飽きられる。そのあたりの「さじ加減」をお願いしたいところだ。それはファンサービス全般にも言えるかもしれないが。

広尾 晃 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT