【産業天気図・繊維】IT関連回復、産業資材も続伸だが、原燃料高が懸念材料

合繊業界は、2004年度上期がデジタル家電関連の需要に牽引されて好調だったものの、同下期は原燃料価格の高騰やIT関連資材の在庫調整、衣料品消費落ち込みの影響を多少受けた。しかし、自動車・産業用の樹脂や化成品、繊維等の需要が高水準で推移し、値上げ・合理化などの効果も加わって04年度の当初計画を多くの企業がクリアする見通しだ。
 05年度については、IT関連材料は年前半で在庫調整を終え、再び上昇に向かうと見る企業が多い。中には在庫調整の影響もほとんど受けずに好調な出荷を持続している製品もあり、独自技術による差別化・高付加価値化が収益力の差につながっている。
 またカーシートやエアバッグをはじめとする自動車関連資材は、日系メーカーでの海外増産によって今後も需要拡大が続く。高強度・耐熱・耐炎などの機能を持つアラミド繊維などの産業繊維に対する需要も引き続き旺盛だ。さらに炭素繊維・複合材料が一般産業用途や航空機用途で拡大し、収益を押し上げる。
 懸念材料は、原燃料価格の高騰と衣料用繊維の低迷。原燃料高は各社とも製品価格への転嫁を進めているが、新たな価格の浸透までには数カ月間の遅れが生じ、このタイムラグが利益を圧迫する。また衣料品市場は婦人服を中心に不振が続いており、その影響で衣料向け繊維需要も軟調だ。川下が不安定であるだけに、再度の原油高騰があった場合、さらなる価格転嫁は容易ではない。合理化を進めてきた繊維事業だが、今後も「原料高の製品安」が続けば再見直しが必要になるかもしれない。
 とはいえ、IT関連や産業用途の高機能素材の需要は引き続き堅調と目され、一方では各社とも合理化策が奏功して体質もかなり強化されている。空模様は『晴れ時々曇り』とみられ、収益の急落はなさそうだ。
【本多正典記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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