部署内婚約で「異動」に…そんなのアリ? 夫婦と職場が受ける「不利益のバランス」とは

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勤務する会社に、部内婚の異動についての規定があるか知っていますか?(写真:Syda Productions / Imasia)

「部内婚を予定していますが、それを理由に異動を迫られています」。こんな悩みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。相談者は技術職で、会社の部署は職種ごとに分かれている。そのため、別の部署への異動は「職種変更」を意味するという。

所属部署の上司は「夫婦が同じ部署にいても問題ない」という考えのようだが、社長が「部内婚」に否定的で、結婚したら部署外に異動という方針を示されたのだという。雇用契約上、異動先に制限はない。ただ、部内婚の異動についての規定があるわけでもないという。

社長からすれば、夫婦のどちらかを異動させることで「公私混同」を避ける狙いがあるのかもしれない。しかし、同じ部署の社員と結婚することを理由に異動を命じることに、法的な問題はないのだろうか。鈴木謙吾弁護士に聞いた。

夫婦と職場が受ける不利益の「バランス」

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

「非常に微妙な内容ですので、理解しやすい例で考えていきましょう。まず、部内で結婚することを理由に『解雇』や『退職勧奨』を実質的に強制された場合には、法的に極めて問題があります。

また、夫婦のどちらかではなくて、たとえば女性のほうだけを形式的に異動させる場合は、男女雇用機会均等法の問題に該当しうるでしょうね。

さらに、異動といっても、従業員に大きな不利益をもたらす降格人事に等しい対応であれば、権利濫用として認められない可能性が高いでしょう」

では、降格ではない「横すべりの異動」の場合はどうだろうか。

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