「地球と月」が実は似ているロマンティックな理由 太陽系の惑星同士は「衝突」を繰り返してきた

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持ち帰ったサンプルには、太陽系ができた50億年前の、小惑星が経験した貴重な当時の音声や写真(もちろん、音、映像はないので、隕石中の有機分子を調べた間接証拠という意味)が残されており、太陽系形成の壮大な歴史を垣間見ることができるのです。

カギを握るは水星と火星

そして、水星、火星が大きなヒントになりそうです。水星はいまだに非常にミステリアスな天体です。

太陽に近すぎるので、探査船を飛ばすのも、かなり微調整が必要でまだまだ謎だらけなんです。そもそもなぜあれほど近い位置に、太陽に落下することなく、安定した軌道を保って形成できたのか、が最大の疑問です。

一説には、地球のようなもっと遠くの場所で形成されたものが、長い時間をかけて今の位置まで移動してきたのではないかといわれています。現在、およそ0・4AUにいます。地球は太陽から1AUの距離(AU:天文単位。太陽から地球までの平均距離を1天文単位としたことに由来。約1億5000万㎞)です。当時の激しい惑星同士の衝突により、偶然にもこの位置まではじき出されてきたのかもしれません。

もう1つの水星の謎、それは地磁気をもっているということ。つまりコンパスをもって水星にいくと、ちゃんと北を指したりする惑星なんです。

磁気方位は、生物にとって、たとえば昆虫は、内部でそれを感知し方角を決めていたり、牛や羊などの家畜は、地球全体の地軸を感じて立っている向きを決めているようです。

実際に、グーグルマップで、地球上すべての牛を調べて、立っている方角の向きを調べた人がいて、個体差はありますが統計的には、ある地軸に関係した一方向だけがきわめて多いという特徴を見出しました。

惑星に地磁気があると聞いて、みなさんにはあまり驚きがないかもしれませんね。

しかし、岩石惑星のうち、地磁気をもっているのはなんと、地球と水星の2つだけ。金星も火星すらもっていない、生命に直結している大きな特徴なのです。

次ページ壮大な物語のカギを握る「水星」
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