ユニクロ制服導入で「購入費上がった!?」その理由 さいたま市立大宮北高校の新たな取り組み

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「本日の公開授業を中学3年生と保護者が見学して、これだけ多くの生徒がユニクロ制服を着ている、どんな色の服でも悪目立ちすることもないし、生徒も先生もそれを許容している学校なんだ、と感じていただけると思います。導入時のコンセプト『生徒も考える、安価でシンプル、スマートな機能的標準服、ジェンダーレスも重要な要素』がかたちになって表れてきていると思います」

ここまで自由な服装が許されるのであれば、もはや制服は必要なく、私服でいいのではないか?

ところが、「私服ではダメなんです」と、筒井さんはきっぱりと言った。

決められたなかでアレンジ 

かつて、制服は学校への帰属意識を高める管理教育の象徴だった。しかし、1980年代以降「ダサい」制服は、「かわいい」「かっこいい」制服にモデルチェンジが進み、生徒側の「管理される」という意識は希薄になった。しかし、意外にも「生徒も保護者も私服を望んでいるわけではない。というか、私服化にはすごく抵抗があります」と、筒井さんは言う。

「先ほど話した横並び意識と重なりますが、ある程度決められた範囲内で自分のアレンジをちょっと出すくらいが今っぽいのかもしれません」

大宮北高校での学校説明会(写真:米倉昭仁)

私服を敬遠する理由はさまざまだ。他の生徒と違う服を着ることの抵抗感、毎朝服選びをすることの面倒くささ、逆に同じ服を着ていけば裕福でない家庭の事情が透けて見えてしまう、など。 

「アンケートをとると、ほとんどの人が私服化を望んでいないことがわかりました。今回の制服改定のコンセプトに照らして考えると、私服にこだわる必要性は感じませんでした。なので、私服化の検討はやめました」

筒井さんが既製品の服を制服にできないかと調べ始めたのは21年春のこと。すると、三重県鳥羽市立の中学校がユニクロの商品を準制服として採用していることがわかった。大宮北高校がユニクロ制服の導入を検討していることを校外に公表したのは、ちょうど1年前の学校説明会だった。

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