米国株はどうなる?「重要な7つの質問」に答える 景気後退リスクが高まり、株価はさらに下落?

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今、個人投資家がアメリカ市場で最も気になるのは、主に以下の7つの質問だろう。

アメリカの株価は売られすぎ、インフレ沈静化期待続く

ーー9月13日にアメリカで8月分のCPI(消費者物価指数)が発表され、同日のNYダウは前日比1276ドルも急落した。その後も株価は軟調に推移しており、こうした株価下落をどう評価すればいいのか。

筆者の回答(以下省略):ひとことで言えば、「株価は売られすぎ」だ。CPI前年比は7月の8.5%から8月は8.3%に低下(インフレが緩和)した。事前予想値の8.1%より実際の値が高かったことが株価下落の要因とされているが、前年比の数値は前月分から低下している。例えば小幅に株価指数が下押ししたという程度ならわからなくはないが、13日の1200ドル以上のNYダウの下落が妥当だとはまったく解釈できない。

――アメリカでは全般にインフレ懸念が根強いが、今後の物価動向は?

すべての国際商品市況が同じ動きをしているわけではないが、原油先物や銅先物などの主要な市況は、今年の高値からかなり調整してきている。エネルギーや原材料の値動きから最終物価の上下動までには「時差」があるため、CPI前年比の高止まりはまだしばらく続き、それに対応するための連銀の利上げも継続しよう。それでも、先行きのインフレが落ち着いてくるとの展望は描けるだろう。

――インフレが生じている要因は、国際商品市況の上昇だけではなく、コロナ禍などにより物流や生産といったグローバルサプライチェーンが混乱した点もあると考える。需給面からの価格上昇はまだ継続するのか。

それについては、NY地区連銀が算出している「グローバルサプライチェーン圧力指数」が参考になる。この指数は、物流の逼迫を推し量ることができる海運や空運の運賃データや、世界の主要地域における生産不足を推察するデータ(出荷遅延、受注残、在庫残)を組み合わせて計算されている。

過去はこの指数(数値がプラスで大きいほど物流や生産が逼迫していることを意味する)がおおむね1とマイナス1の間で推移していたが、昨年12月には4.32まで上昇、供給面からのインフレ圧力が極めて強かったことを示した。

しかし、直近の8月には1.47まで低下している。まだ同指数の水準は過去と比べて高いが、ピークからは大きく低下しており、インフレ圧力の緩和が期待される。

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