ホンダ「ジェイド」、乗ってわかった真の実力 新型ミニバンがストリームを名乗らないワケ

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英語で「翡翠(ひすい)」を意味するジェイドが主なターゲットに想定するのは、独身や子離れした夫婦。5ナンバーサイズだったストリームのユーザーというよりは、3~4代目オデッセイのファンだったようなユーザーだ。車両本体価格も272万~292万円とストリームよりは一段上、旧オデッセイ並みの価格帯となっている。ホンダは5ナンバーサイズのミニバンを求めるユーザーは、「フリード」で補う考えのようだ。

「アコード」との共通性が高い

ジェイドのプラットフォーム(車台)について、誤解している人も多いようだが、Bセグメントの「フィット」系から派生したものではなく、エンジンベイまでは欧州「シビック」をベースとしつつ、ダッシュ以降はまったく新規に起こしたもので、部品単位の流用でいうと「アコード」との共通性が高い。実は中国で先行して生産・販売されており、この手直しで日本に導入したような受け取られ方もしているようだが、それも誤り。日本で販売されるジェイドは日本国内で生産される。

サイドビューも旧型オデッセイやストリームに近いシルエット(写真はホンダHPより)

ジェイドを走らせてみると、最近のホンダ車とは一線を画する、快適性の高い乗り心地に仕上がっていることにちょっと驚いた。

オデッセイの後継であれば、もっと気張ってくると予想していたが、意外だった。開発責任者によると、まさしくそのとおりで、このところのホンダ車は、限界性能や操縦安定性に寄りすぎだと彼自身も感じていたそうだ。「まずは真っ直ぐを快適に走れること、そして曲がってなんぼはその次」と考え、開発時にもハンドリングよりも一般的な走行を重視して時間を割いたという。

プラットフォームの差で乗り心地も上質

昨年12月に発売された新型ハイブリッドセダン「グレイス」も、i-DCDの先駆である「フィット」や小型SUV(スポーツ多目的車)「ヴェゼル」など、ほかのホンダ車とは異質の乗り心地が与えられていたのだが、ジェイドはそれとも違って、より上質な印象となっている。やはりそこは、フィット系ではなく、上の車格のプラットフォームがベースであることを感じさせる。

走行性能を向上すべく、ボディ剛性にもかなり力を注いだとのことで、4代目オデッセイに対しては、曲げ剛性は70%、ねじれ剛性は20%、それぞれ向上している。これは現行のフォルクスワーゲン(VW)「ゴルフ」と同等らしい。さらには、デュアルピニオンの凝った電動パワステを採用したのも特徴の一つである。実際にドイツ勢に通じる走り味を感じたのは、そのあたりからだろう。

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