失業した場合、どのような心構えをするべきか 周りと比べて自分を追い込んではいけない

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できる範囲で、小さくてもいいから一歩前進しましょう。最初からフルスロットルで復帰ということは、考える必要はまったくありません。「仕事をするための人生ではなく、人生を生きるための仕事」ですので、とりわけ裸の大将さんの場合は優先順位を明確にすべきです。

そして少しずつ前進をしていく中で、できることを徐々に増やしていきましょう。そうすれば小さいかもしれませんが、確実に前進をしていることになりますし、また何よりも、失ってしまった自信の回復にも寄与するのだと思います。

情報収集と考え方の整理を

そのうえで、仕事よりも重要だと思いますが、小さなことでも前向きにとらえるクセ、そして誰かと会話をするという姿勢を、ぜひ身に付けましょう。

まず、前向きにとらえるクセですが、先ほど申し上げた「6年間やってきた実績」や「自分の体を考え退職を決断できる決断力」など、必ずしも誰もが持っているわけではないものを持っていると思いますし、少なくともそういった方向に考えるだけで見えてくるものもあるのだと思います。

サポセンに行ったとありますが、これは外に出て積極的に前に進もうとする姿勢の現れといえます。結果が出なかったとしても気にしないでください。自分に合わないとわかっただけでも、一歩前進していることになりますよ。

また、できるかぎり人と話をして、仕事のことだけでなく情報収集と考え方の整理をすることも心掛けましょう。人と会話をすることによって、自分の考えを整理できることがけっこうあります。相談する人が誰もいない、とのことですが、それこそ親や友人にはじまり転職エージェントからサポセンまで、活用できるものはなんでも活用する、というスタンスでかまいません。

ただし、その際は過度な期待、たとえば相手がマジカルにすべての悩みを解決する解決策を与えてくれる、といったことは期待せず、あくまでもご自分自身の考えを整理するためのディスカッションパートナー的に考えると、気持ちも楽になるのだと思います。

いろいろと書いてきましたが、要は「自分自身のよさを見失わない」ということに尽きると思います。人間、誰しも完璧ではありません。それぞれが長所と短所を抱えながら生きているのだと思います。幸せに生きるためには、自分の短所の克服ばかり突き詰めてはいけません。周りの目が気になると書かれていますが、あまり気にしないでください。裸の大将さんが勇気をもって一歩を踏み出せば、周りから助けてもらえることも増えます。頑張っていれば、助けてくれる人も現れます。まずは外に出てみることが、新たな可能性の扉を開く第一歩となるのではないでしょうか。

小さくてもいいからまずは次のステージに向かって、最初の一歩を踏み出しましょう。前を向いて前進しているかぎりは、周りに取り残されることなんてそうはありませんよ。応援しております。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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