アイスのコーンはとうもろこし?への英語的回答 英語学習者を混乱させるカタカナ英語の罪

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coneの母音はアメリカが/oʊ/、イギリスが/əʊ/。筆者がカタカナにするならアメリカは「コウン」、イギリスは「ケウン」ですね。ただ、イギリスの/əʊ/という母音はカタカナでは表現しづらいので、妥協して米英ともに「コウン」とするのもありでしょう。長音記号で「コーン」と伸ばすよりも、「ウ」で表記したほうが/ʊ/という母音の存在がはっきりすると思いませんか。つまり、筆者的には「アイスクリームコウン」「カラーコウン」と表記してほしいのです。そうすればcorn「コーン」とcone「コウン」を混同することが減ると思うんですけど。

フォウクソングはお好き?

これらの母音を含む単語を、筆者の提案する新表記で見てください。これまでのカタカナ表記では区別できなかった単語が、それぞれ異なる単語だというのが明確になるはずです。

テニスコートの「コート」と寒さをしのぐ「コート」、『ロード・オブ・ザ・リング』の「ロード」とダウンロードの「ロード」、食事で使う「フォーク」とフォークソングの「フォーク」、カタカナのせいで同じ単語だと勘違いしていた方はいませんでしたか。やはりこれらの単語は異なる表記になるべきでしょう。

「今日は寒いからコウトを持っていきなさい」とか、「オウバーロアド(Overlord)ってアニメ知ってる?」とか、「やっぱ70年代のフォウクソングは鉄板だよね」なんて表記になったら、英会話教師としては感激です。

でも、これらの母音は、どちらもほとんどが長音記号を使って「ジョーク」「ホープ」「ポーク」「モーニング」のように区別なく表記されているのが現状。そんなこと言われても、「『モーニング』を『モアニング』にするなんて大変革はちょっとやりすぎ」ということでしたら、あまり攻めずに/ɔɚ/はそのまま「ポーク(pork)」「モーニング(morning)」と、イギリス式で表記するというのがソフトランディングかもしれませんね。

ただし、イギリス式に合わせる選択をした場合、/ɔɚ/が語末に来る単語の表記に違和感が発生するのを、皆さんは受け入れられるでしょうか。例えば、door(扉)やfloor(床)などは、現在はアメリカ発音を意識した「ドア」「フロア」という表記が一般的。同じ母音は同じ法則でカタカナにするべきというルールで行くと、cornを「コーン」にするのであれば、doorは「ドー」にするべきです。

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