「現代版姥捨山」から老母を救出するには? 母と同居している兄夫婦が執拗に虐待

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静子さんは賢く弁が立ち、常識のある人ですが、説教や話し合い、要望などを重ねても、若夫婦の心には届きません。用済みの人間の言葉など、頭から聞く気がない若夫婦には、常識や人の道を説いてもまさに馬耳東風でした。静子さんは、お嫁さんの顔色ばかりをみる“昔は親思いだった息子”に、これ以上寂しい思いをさせられる前に、悩みに悩んで、養老院に入ったそうです。

先の山下さんのおばあちゃんも、自分の意思で養老院に入ったとはいえ静子さんも、体裁のいい“姨捨山伝説の現代版”ではないでしょうか。(養老院、老人ホームを姥捨山と言っているのではなく、その追いやられ方のことを指しています、念のため。)

古川様のご実家のように、同居はしているが実態は姥捨山家族も多いと思われます。そして姥捨てよりひどい事件が、毎日のように新聞に出ていますし、これらの事件は高齢化の進展に伴いさらに増えていくことでしょう。

実家の老母が姥捨山に捨てられる前に動くべし

古川様、この場合、お兄様が目を覚まして母親に優しく接するか、ないし別居してこれ以上こじれるのを避けるなどの選択肢がありますが、私のいちばんのおすすめは、娘であるあなたがお世話をすることです。住環境により同居できないのでしたら、近くのアパートでもいいと思います。

古川様には受験生が2人いるそうですが、勉強するのはあなたではありませんし、フルタイムで働いておられても、近くに住み、1日1回、娘のあなたが顔を出すだけでも、ずいぶん、お母様にして差し上げられることは多いです。

古川様のお母様も、あなたの近くに住み、娘夫婦と孫たちに大切にされているという実感をお持ちになりながら暮らしていけると、精神衛生上もいいし、あなたも今よりは安心できるのではないでしょうか。私は“多忙な事情”を盾に何もせず、母が亡くなってから自責の念に苦しむ人をたくさん見てきました。

あなたにもいろいろ事情はあるでしょう。むしろ事情のない人なんていませんしね。娘の貴女が、お母様を”姥捨山“から救出されることを陰ながら応援しております。

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ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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