オリックス、日本一を狙う「影の仕掛け人」 イチローがいた96年以来の快挙も夢じゃない

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2011年にロッテを去り、2012年にオリックス球団本部長就任。宮古島は練習施設が老朽化し、離島ゆえに練習試合の相手もいない。集客も難しい。キャンプ地としての限界を感じたとき、思い出したのが清武町の存在だった。昨年の2014年春に視察。宮崎市も全面的に協力してくれるという。縁は再び結ばれた。

宮古島を離れる理由となった3点は清武町に来て、すべてクリアされた。施設は充実。対外試合はオープン戦が1試合。練習試合は雨で2試合流したが、4試合を消化できた。

2月1日のキャンプインから26日に打ち上げるまでバファローズタウンへの総来場者は練習のあった21日間で16万8140人。この数字は、宮崎市観光協会にデータが残っている2005年以降では最多の33万3300人を記録したホークスタウンの約半分。だが、2月15日の日曜日には、1日で2万7800人を集めた。およそ宮古島の1年分である。

「選手も見られていると刺激になりますからね。大阪から近いのと、楽しい施設。去年いい戦いができたのもあったと思います。たくさんのファンに来ていただきました。選手には励みになったと思います」

19年ぶりの日本一だって、夢じゃない

満足そうに振り返る瀬戸山本部長。巨人のKIRISHIMAヤマザクラ宮崎県総合運動公園、ソフトバンクの生目の杜とシャトルバスで結ばれた効果も見逃せないが、その相乗効果は狙い通りだ。

「ライバル球団が近くにいて、何かにつけて比較されるのはいいこと。ソフトバンクや巨人に負けないチームになって、キャンプ地も生目の杜に少しでも追いついていきたいですね」

そういえばソフトバンクと巨人は昨年の両リーグ覇者。オリックスは日本一に輝いたソフトバンクに2厘差の2位。宮崎市でキャンプを張る3球団のレベルは高い。

追う立場のオリックス。昨オフFA(フリーエージェント)宣言した絶対エース、金子千尋が残留しただけじゃない。アメリカ帰りの中島裕之、FAで小谷野栄一、さらにDeNAの契約が切れたトニ・ブランコを獲得。早くもソフトバンクとのマッチレースが予想されている。

パ・リーグの「宮崎市ダービー」を制し、さらにイチロー(現マーリンズ)がいた1996年以来19年ぶり日本一に上り詰めれば、来春のバファローズタウンは一気に「松」まで格上げされてもいい。 

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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