ホンダ社長交代、飛躍の準備は万全なのか 新車投入の遅れも響き2014年度は減益の公算

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緊急会見を開いて社長交代を発表。抜擢人事でトップに就く八郷隆弘氏(左)(撮影:尾形 文繁)

2月23日に開かれた緊急会見の冒頭、ホンダの伊東孝紳社長はこう述べ、前向きなトップ交代であることを強調した。「飛躍する準備が整った。今ここで新しく若いリーダーの下、一丸となってチャレンジすべきと考えた」──。

次期社長となる常務執行役員の八郷(はちごう)隆弘氏(55)は、車体設計の経験が長いほか、開発や生産、購買と幅広く経験した異色の経歴の持ち主だ。取締役の経験はなく、“飛び級”でトップに就く。

破られた不文律

これまでホンダの社長は、子会社の本田技術研究所の社長を経ることが慣例だったが、八郷氏にその経験はない。長年続いた不文律が8代目社長で破られることになった。

伊東社長は、「世界各地域の事業が自立するとともに、効率・効果を上げていくタイミングにさしかかった」と述べており、海外経験が豊富な八郷氏をトップに据え、改革の加速を図る構えだ。

就任前の2008年に起きたリーマンショックを教訓に伊東社長が取り組んだのは、売上高の半分を北米が稼ぐ偏った収益構造の是正だった。

12年に発表した中期経営計画では、16年度の世界販売台数を当時の1.5倍となる600万台以上とし、先進国と新興国でその半分ずつを売り上げる目標を打ち出している。それに向けて、「グローバルオペレーション改革」を標榜し、世界の6地域で開発・購買・生産の現地化に力を入れてきた。

改革を担うキーマンとして海外に送り込まれたのが八郷氏だ。12年に欧州を統括する英国子会社の副社長に就任。13年からは中国の生産統括責任者として、現地法人2社の副社長を務めてきた。ホンダ初の中国向け現地専用車となる中型セダンの「クライダー」や「スピリア」など3車種を投入。部品の現地調達比率を引き上げて、コストの削減も実現した。

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