人種のるつぼ新宿に中国人が突出して戻った理由 留学資格による中国からの入国者は10倍以上に

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外国人学生を国籍、地域別で見ると、最も多いのは中国。2022年は3322人で全体の約6割を占めている。2位の韓国736人、3位の台湾262人、4位アメリカ137人などを引き離して断トツである。昨年もトップは中国で3314人(62%)だった。中国人学生数は微増にとどまっているが圧倒的な存在感を示している。

新宿区の外国人減少が底を打ち、回復傾向にある中でやはり存在感を示しいるのは中国人だった。そして、その活躍の舞台は新宿の繁華街エリアにとどまらず、最近は高田馬場一帯に広がっていることがうかがえる。

繰り返しになるが、早稲田大学の中国人学生数だけで3300人である。日本の小さな村の人口に匹敵する規模である。さらに予備校や日本語学校、専門学校に通う留学生たちも入れたらどこまで膨れ上がるか。

しかも最近は日本の大学を卒業後、日本企業などに就職して都内に住む若者も多い。高田馬場周辺をはじめ新宿区には外国人、とりわけ中国人が多く暮らしているが、その4割近くが20代であることからして、学生などが占める割合が高いと思われる。つまり、客となりうるだけの人口圏があるから、高田馬場に中国系の飲食店が増えているのではないか。

高田馬場は1990年代後半から多くのミャンマー人が住むようになり、ミャンマー料理店などが集中し「リトル・ヤンゴン」として注目されてきた。アジア系の人々や文化を受け入れる土壌があり、アジア系の人々にとっても暮らしやすい街なのだろう。そんな異国文化を育む街にいま、規模は小さいながらも新たな「中華経済圏」が誕生しつつあるのだろうか。

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山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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