妻に「800万の借金」が発覚して訪れた最悪の展開 クレカの不正使用疑うも「妻の散財」だった…

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少し安心して、二つ目の質問に移った。

「カードはどこにあるのかな? こんな風に使われたら困るから、すぐに返して欲しいのだけど」

今度は歯切れが悪かった。

「今も私が手元に持っている。悠希さんが困るのも、勝手に使って欲しくないのも分かる。だけど、私はクレジットカードを持ってないから、このカードが必要なの。カードでしか買い物できない時もあるから。だから、カードを使わせてもらいたい」

突っ込みどころ満載だった。「クレジットカードを持っていない」とは、何なのか? これまで買い物や食事時に使っていた彼女のクレカはどこへ行ったのか。1時間近い長電話になったのは、この疑問を解消する必要があったからだ。

ここまで、妻の口調は決して重くはなかった。勝手に使ったことがバレることは予見していたに違いない。素直に16万円超の使用を打ち明けた。

しかし、彼女は頑なにその理由を明かそうとしなかった。何か「不都合な真実」を抱えていることは明らかだ。僕だって「パンドラの箱」は開けたくないが、スマホを持つ手に力を込め、言葉を続けた。

「カードを持っていないとは、どういうこと? 以前は使っていたじゃない」

「僕は美和ちゃんのことを信頼して、結婚生活を続けてきたよ。美和ちゃんだって、僕のことを信頼してくれてもいいんじゃないかな。できることは力になるよ」

最後に発した「力になる」の一言が、 彼女の心をつかむ。「言いたくない」「言えない」「話せない」「聞かないで」。通話中、こう繰り返してきた態度が一変した。そして、告白し始めると一気だった。

「美穂ちゃん(次女)をこっち(東京)の病院で産んだじゃない。実家に戻って出産した時と違って、お義母さん(僕の母)が何もしてくれなかった。悠希さんには言えなかったけど、入院中すごいストレスだったの」

「家に戻ってから、そのストレスもあってネットで買い物をし始めて。結婚してから、私なりにずっと我慢してた。その分、一度欲しいものを手に入れると、どんどん止まらなくなっちゃって。そのうち買い物依存症みたいになっちゃったの」

雪だるま式に借金を増やしていた妻

最初は一括払いをしていたが、次第に回らなくなってリボ払いに手を出す。それも無理になると、次々と別のカードを頼った。1年半か2年ほど、こうした行為を繰り返し、雪だるま式に借金を増やす。ついに、自分ひとりでの対応に音を上げた。弁護士を立てての債務整理を実施したという。

一時しのぎになったが、クレカは持てず、新しく作ることもできない。ネットでしか買えない子ども用品があり、僕のカードを無断使用した。そして、それが露見した。

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