「韓国人は、日本人と別人種」と考える人の超盲点 「私もモンゴル人力士に似ている」と思ったら…

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2012年、日本人類遺伝学会が編集する国際専門誌電子版に、「1人当たり最大約90万カ所のDNA変異を解析し、非常に高い信頼性で、先住民の縄文人と、朝鮮半島から来た弥生人が混血を繰り返して現在の日本人になったとする混血説が裏付けられた」と、総合研究大学院大学(神奈川県)などのチームが発表している。

古代の倭国と、伽耶・百済の特別な関係

また、近年では2019年5月13日に国立科学博物館により発表された話だが、いまの日本人のDNAを全ゲノム解読できるようになった結果、縄文人由来のものは10%程度にすぎず、紀元前から朝鮮半島より渡来した弥生人と混血したことが示されている。

じつは、ほかにもさまざまな人々が日本列島に渡って混血してきたという説も唱えられているが、その後も弥生時代から飛鳥時代にかけて、多くの人々が百済や高句麗などから渡来し、大和政権で大きな役割を果たしていたことはよく知られているとおりだ(この時代に大量に流入した東アジア系の人々を古墳人と呼び、現在の日本人の遺伝子と最も近いという研究も存在する)。

1984年、全斗煥(チョンドゥファン)大統領の初訪日時の晩さん会で、昭和天皇が、日本建国当時の朝鮮半島国家による役割について言及したのも検索可能なので、ご参照いただきたい。

なお、「朝鮮半島には人がおらず、日本列島から朝鮮半島に人が渡って百済などを建国してその後、日本列島に戻ってきた」という説を唱える人がいるが、さすがにこれは無理があるだろう。もとはといえばアフリカ大陸にいた私たちの祖先を、どれだけ不自然なルートで移動させるのだろうか。

実際のところ、中国の文献にも、朝鮮のほうが日本より何百年も前から登場している。また、百済のほうが倭国より上国として書かれており、百済から倭国に文化が伝えられたことも記載されているのである(ただこれは当然で、当時アジア文明の中心地であった中国に近いほど先進文化があるのは、当たり前のことだろう)。

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