鹿島、トップ交代を機に"追い風"に乗れるか スーパーゼネコン4社の中で利益は最下位

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前期に続いて建築部門が2015年3月期も赤字が見込まれるのは、東日本大震災前後に受注した大型の建築や再開発工事が、その後の労務費高や資材高の直撃を受けたことが大きい。特に、一部の大型工事では工期に間に合わず、突貫をかけて工事を行なったことも大きく影響している。

スーパーゼネコンの建築部門は3年以上と工期が長い案件が多く、ほかの大手でも程度の差はあれ、工事採算は低い。それを考慮しても、現在の鹿島の建築部門の粗利率の低さは際立つ。今期は工事損失引当金を積み増しており、2016年3月期の業績は回復が見込まれるが、実質的には低採算という状況を引きずることになる。

 「超高層」に魅せられて入社

「現場第一主義」を自認する押味氏は建築部門を”復活”させれられるか

東京工業大学工学部建築学科出身の押味氏は、学生時代に見た霞が関ビルで「超高層」に関心を持ったという。鹿島建設に入社後は出身地でもある横浜に赴任。執行役員横浜支店長を勤め、その後は建築管理本部長として手腕を振るった。

直近は専務執行役員関西支店長を務めている。「今後は首都圏での需要が拡大する。次の社長について、この一年ほどいろいろ候補に挙げてみて見てきた」(中村社長)という中で出した結論が、押味氏だった。

押味氏自身は「心を込めた物作りが大切。お客様のニーズにきちんと対応できることが信頼できる会社になるためには大切なこと」と話す。建築部門の現場にいつも伝えているのは、「一人一人が知恵を出していくこと」だという。

トップに就く押味氏にとって喫緊の課題は、2年前まで本部長を務めていた建築部門の再建だ。「現場第一主義」を自認する押味氏が現場力をどれだけ高められるか。建築部門の復活は、鹿島の復活にもつながる。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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