日本の先を行く、タイの「女子力男子」 なぜ、これほど男性美容が盛り上がるのか?

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そしてもうひとつの理由はタイ人は色白=お金持ちというイメージを持っている人が多いということです。 

今回、タイの女子力男子についてのレポートを担当した塩田修大(慶應義塾大学3年)

タイ人に比べ色白である華僑の人々が、タイをはじめ東南アジア各国で事業を起こし、財をなしたことが多いこと。また、お金持ちは屋内で仕事をするために、日に焼けにくいという考えが浸透しているそうです。だから、若い男性の間では肌に気を遣うことで、自分はおカネがあるとアピールできる→女性にモテる――と考える図式ができているのかもしれません。

日本人においては、男性が美容に気を遣っても、必ずしもモテるとはならなそうですが、SNS好きという点は日本人とも共通します。今後、SNSがますます広がる中で、日本でも「美容系男子」は増えていくのではないでしょうか。

原田の総評:アジアの「女子力男子」市場は大きい

タイの女子力男子のレポートはいかがでしたでしょうか。

私の実感では、「女子力男子」の多い都市は、第1陣が東京、それに次ぐ第2陣がシンガポール、台北、香港、第3陣が上海、ソウル、クアラルンプール、第4陣がバンコク、第5陣がジャカルタ、マニラなどです。

第5陣はまだ従来のマッチョ志向の男子が主流の段階で、か弱い女子が人気の印象がありますが、確実に「女子力男子」は増えつつあります。

今、アジアで最も「女子力男子」が多い日本で、アジア各国に向けた商品開発を進めれば、やがて成長し始める「アジアの女子力男子」という巨大市場を狙えるはずです。

※取材協力:TNC……70カ国100地域で500人以上の現地在住の日本人ネットワークを運営する海外マーケティング会社。ライフスタイル・リサーチャーを主軸とした海外リサーチ、PR、商品開発業務のプロデューサーとして、多数の日本企業や自治体の海外戦略を担う。
 

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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