私が二川様に別居をお勧めするのには、深い理由があります。私の友人の正美さん(仮名)とその姑の性格にそっくりだからです。
同居する正美さんの姑は超きれい好きでエネルギッシュ。掃除がルーズな正美さんのすることなすことが気にいりません。ドアをピシャリと閉めたり、聞えよがしに鍋・やかん・茶碗類をボーンッと置くのは日常茶飯事で、それは正美さんが2階の自室にいる早朝や夜間にも行われ、すぐに駆けつけて“爆弾”を受け止めないと、収集がつかなくなったそうです。
正美さんは、ときたま姑がご機嫌のよいときでも、いつ何で機嫌を損ねるかわからないから、その恐怖から24時間解放されることはありませんでした。姑亡きあと10年も経つのに、いまだに時々、姑が立てる物音や機嫌悪く自分をしかる声や顔が現れて、恐怖が蘇るそうです。
正美さんがいちばん悔しく思うのは、自分が姑の顔色だけうかがって神経をすり減らしていた意味のない25年の間に、友人たちは家族から大切にされながら、友だち同士で会食したり、美術館や講演会に行ったり旅行を楽しんだりと、教養を深めていたことを知ったことでした。しばらくは精神的には自分が未開地の山奥から出てきた者のように感じ、失った時間の大きさに茫然としたそうです。
彼女の失われた25年は戻りませんが、せめて姑が尽くし甲斐のある優しい人か、人の役に立つ仕事をしていた人だったらと、感謝することを知らない人に、人生を振り回された正美さんの悔しさは今も治まりません。ところで正美さんは結婚当初からの同居でしたが、途中から同居の貴女の場合は、感じるストレスも正美さんの比ではないと思われます。
こじれる前に別居して、適度な関係を保つべし
二川様、お義父様は少しの介助で、自力でおできになることが多い段階なのですね。お義母様の愚痴も、お義父には、気の毒ですが半分は音楽のように聞き流す術もお持ちだと考えられます。夫が仕事一筋だったことに対する感謝の念もないエネルギッシュなお義母様に、お義父様の介護を頑張らせましょう。(もちろん、虐待行為に及ぶ危険がある場合は別の対策が必要ですが)
お義母様の性格を考慮する限り、貴女がお義母様の言動の改善をお願いしたり、ご夫君が介入しても、かえって関係が悪化したりお義母様がますますヒステリックになったりするのがオチです。先の正美さん同様、貴女のご性格からみても、貴女が不毛な人生の空白を作り、PTSDで悩まされるようになる危険性の方を案じます。
それよりも当面は、義父母の近くに住んで、貴女方夫婦がお手伝いできることはさせて頂くという体制をとる方が、両者に良い選択のように思えます。大げさな解決策のようですが、こじれると、近くに住んで見守ることも再同居の道もなくなります。別居して関係が改善した家族は多いですよ。状況と心境が変われば、いつでもまた同居に戻ればいいわけですから。
※ ミセス・パンプキンさんへの相談はこちら
ログインはこちら