日経平均、円安に頼らなくても上昇へ 今の「重要な変化」を見逃すと勝ち抜けない

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実は、国内株価と円相場の関係変化に力を貸した「2つのデータ」が、直近発表の統計に見いだせる。

貿易統計と訪日外国人観光客の統計が雄弁に物語る

1つは、19日(木)発表の1月分の貿易統計だ。昨年12月までは、円安にもかかわらず、輸出数量の前年比はプラスマイナスゼロを出たり入ったりと、増加傾向が見いだせなかった。背景には、生産施設の海外移転などが指摘されていたが、1月分の輸出数量指数前年比は11.2%増と、ほぼ4年ぶりの2ケタの伸びを記録した。

なぜ1月になって輸出数量が急増したのか。この理由には2つの点が考えられる。

第一は、円相場とは全く関係がない要因、たとえば海外経済の持ち直しによる需要増などが貢献したというものだ。これが正しければ、今後も円相場にあまり関係なく、輸出が増えておかしくない。

第二は、円安が輸出増に寄与したが、効果が表れるまでに時間がかかった、という考え方だ。ということは、現状のような120円近辺の円の水準が不十分なのではなく、別に今のままの円相場でも、待てば徐々に輸出が増えてくる、ということになる。

この2つの説のどちらか(あるいは両方)が正しければ、今後の円相場が横ばいでも、輸出増による国内景気の回復で株価が上がることは、別に不思議ではない。

もう1つの経済統計データは、18日(水)発表の、1月の訪日外国人観光客数で、前年比で29.1%も伸びている。

これも貿易統計と同様、円相場とは別の要因、たとえば官民挙げての集客努力や、日本の観光資源の魅力の高さなどが寄与しているのかもしれないし、現状の円相場でも、日本への観光旅行はすでに十分価格的に安く、観光客の来日がどんどん増え続けている、とも考えられる。こうした、いわゆる「インバウンド消費」に関しても、今後さらに円安が進行しなくても、増勢は変わらないだろう。

この2つの経済データを考えてみるだけでも、これからの国内株価と円相場の動きが乖離することが、透けて見えるのである。

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