大塚家具、父娘が「解任」し合う激しい応酬 父・会長と娘・社長、決戦は株主総会へ

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後に株主提案で久美子体制を否定するならば、なぜ勝久氏は会長職を引き受けたのか。関係者によると、冒頭の勝久氏からの株主提案が会社に送られてきたのは、1月29日だった。勝久会長・久美子社長の陣容を決めた28日の取締役会の翌日だ。

しかも、久美子氏の考えていた株主提案という奥の手を、今度は社長から外れた勝久氏が、攻守所を変えて実行した形である。その後、水面下で久美子氏は、勝久氏に株主提案取り下げを求めてきたものの、不可能と判断し、今回の決議に至った。

勝久氏側は「早期の業績回復のために、経営体制の抜本的刷新と強固なコーポレートガバナンス体制の構築が必要であり、株主提案した」と主張。これに対して久美子氏=会社側は「当社経営を再度混乱かつ不透明にさせ、当社の企業価値・株主利益を毀損するものである、と言わざるをえない」と反発する。

カギ握るファンドと機関投資家

まさに父と娘、一歩も引かない争いだが、今後の展開はどうなるのか。

取締役の選任と解任は、株主総会の決議事項だ。株主の過半数の賛同がなければならず、このままいけば、大株主である大塚一族を真っ二つにした、異例の委任状争奪戦(プロクシーファイト)に発展する可能性もある。

創業者で筆頭株主の勝久氏は現在、大塚家具の株18%を保有する。片や久美子氏サイドは、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」で、10%弱を握っている。

ほかの大株主で影響が大きいのは、直近で10%超まで買い増した米ファンド、ブランデス・インベストメント・パートナーズで、同ファンドは久美子氏寄りと見る向きがある。日本生命や東京海上日動火災などの機関投資家は姿勢を鮮明にしていない。

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