9割の「職場悩み」を消す、ちょっとした工夫 メンタル不調者を激減させた研修とは?

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人との関係性がうまく行かない人は、その方法を知らないだけともいえるのです。辛いことや悲しいことがあっても、それを取り巻く人間関係によって心の負荷が全然違います。いかに人間関係を築けば、よりよい人生を送れるのか、その方法を知って実践していただきたいと思います。

ひと昔前までのメンタルヘルスの研修というのは、「うつ」とはどのようなものか、「うつ」になったらどうすればいいか、「うつ」の人にはどう対応すればいいかというものが多く存在していました。

しかし、効果的な予防効果は表れず「うつ」に悩む人は増え続けています。もちろん、対応策は不可欠ですが、実際には知識を得ただけで「うつ」が予防できるわけではないのです。

職場を変えるちょっとした工夫とは?

私は、心の健康を保つにはコミュニケーション不全を改善してくことが必須だと確信しています。そのため、人との関わり方をメンタルヘルス研修の軸にしてきました。人間関係は複雑であり、お互いの気持ちも常に変化しています。それに対応するためには、ちょっとした工夫が必要です。

私が担当しているある企業では、全職員向けのコミュニケーション研修を導入したところ、人事が介入するメンタル不全者が2年間で82%も減少した実例があります。人との関わり方次第で環境の質が大きく変わった例です。具体的には、気持ちを受け止める聴き方、行き違いのない伝え方を一方通行の講義ではなく、ワークをふまえた体験形式で実施しました。

これにより、よりよい信頼関係を築く方法を身に付け、指示の出し方、連絡や報告の方法がより明確になり、一筋縄でいかない場面がありながらも、行き違いを最小限に抑えることができるようになったのです。

大野さんの著書『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』も絶賛発売中!

昨年、10月に出版させていただいた拙著『「かまってちゃん社員」の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、さまざまなタイプの扱いにくい人とどうつき合っていけばいいか、その方法を書きました。

こちらもぜひとも参考にしていただきたいと思いますが、このコラムでは扱いにくい人にとどまらず、身近な人間関係にもすぐに役立ち、関係改善に効果があるポイントについても触れていきたいと考えています。

身近な人との関係性がより良く変わっていくと、自分自身のモチベーションが上がり、気持ちも安定していきます。あなたもメンタルチューニングをして、仕事でもプライベートでも、活き活き、キラキラする毎日を手に入れましょう。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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