ユニ・チャーム、好業績の背後に2つの不安 足元2ケタ成長でも中国でシェア低下

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ユニ・チャームの中国事業は好調だが、紙おむつ市場の競争は激化している

紙おむつ、生理用品国内首位の日用品メーカー、ユニ・チャームの業績拡大が続いている。けん引役は売上高の過半を占める海外事業だ。

2014年度(14年4月~12月)が変則決算だったため純粋な比較はできないが、12カ月換算で見ると、2015年12月期も2ケタの増収増益を見込む。今期の会社計画は売上高7600億円、営業利益860億円。売上高は14期連続、営業利益は9期連続で過去最高を更新する。配当も14期連続増配となる。

中国とインドネシア事業が躍進

前期のユニ・チャームの海外売上高比率は60%だった。中でもアジアの比率が高く、全体の45%を占めた。稼ぎ頭は中国とインドネシアだ。同社はほかの日用品メーカーに先駆けて海外に進出。中国には1995年、インドネシアには1997年に参入した。その成果が実を結び、中国の売上高比率は前期全体の18%、インドネシアは11%までに膨らんだ(全て円換算、利益は非開示)。

15年12月期も成長ドライバーは中国とインドネシアだ。中国では2014年8月、紙おむつ「マミーポコ」ブランドで、1枚当たり2~2.5元のプレミアムライン「超特級」を投入。既存品より価格が約5割高く、今期はその本格貢献を見込む。日本で展開している紙おむつ「ムーニー」の中国向け輸出も勢いが続きそう。ムーニーの価格帯はプレミアムラインのさらに上を行き、スーパープレミアムラインと呼ばれる。プレミアムラインのマミーポコと合わせ、販促費を積極的に投入し、小売店での販売スペースの確保を進める。

1歳過ぎの幼児を対象とした「パンツ型」紙おむつの需要が拡大していることも追い風だ。中国の紙おむつ市場は、1歳未満の幼児を対象とした「テープ型」が主流だったが、日本のように紙おむつを長く履く習慣が浸透し、「パンツ型」が売れるようになった。パンツ型は最初から下着と同じパンツ状になっているため、おむつ替えにさほど困らないというメリットがある。販売単価はテープ型のプレミアム品とほぼ同等で、業績への貢献も大きい。

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