サントリー新浪社長「日本一に無関心」の真意 「世界を見ると、まだまだ上がいる」

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ビームサントリーのシャトックCEO。新浪氏と激論を交わす?(撮影:鈴木紳平)

今年はビームサントリーの主要市場である北米、日本で「ジムビーム」「メーカーズマーク」「響」といったブランドの販売を強化し、サントリー自体のブランド力向上に注力する方針。新浪社長は頻繁に米国に趣き、ビームサントリーのマット・シャトックCEO と「時には顔を赤くして」激しい議論を交わすという。

2015年度のスピリッツ事業の売上高目標は前期比26%増の6733億円。ビームサントリーの業績が通年寄与(前期は5月~12月分)するため、今年度の伸び率は高い。しかし、2016年度以降も年率10%近い成長を維持しなければ、2020年にスピリッツ事業で1兆円の売上高は達成できない。

財務改善も喫緊の課題

新浪社長は「ビームサントリーの成功に経営資源を集中させる」と述べ、2020年までに大型買収の予定はないとした。それ以降に買収を仕掛けるとしても、2014年末時点で2兆円以上に膨らんだ借入金の返済を着実に進めることが大前提だ。

ネット有利子負債のEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)倍率は2014年末で5.2倍。今後は年間700億円程度の借入返済を行い、2017年末に同倍率を3倍~3.5倍まで引き下げる計画だ。財務の改善を図るうえでも、収益性の高いビームサントリーをいっそう成長させることが重要になる。

業界を驚かせた大抜擢人事の発表から半年余り。「これから3年~5年はサントリーにとって21世紀の命運を分ける重要な時期」(佐治会長)と位置づける中、創業家以外で初の社長に就いた新浪氏は、大目標の下で常に結果を要求される。カギを握るのはスピリッツ事業のさらなる拡大だ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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