出題者の「オハコ」を知らねば、合格は遠のく 試験バカを終わらせる、過去問使い倒し術

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私は個人的にカラオケが好きで、目上の方、同僚・友達、後輩など色々な方と一緒に行く機会があります。そこで思うのは、人によって明らかに歌う歌に傾向があることです。特定の歌手の歌に偏る人もいれば、アップテンポ、バラードといった特定の類型・ジャンルの歌に偏る人もいます。

たまに「えっそんな歌も知っているの?」みたいなこともありますが、とはいえほとんどの場合、「ああ、この人好きそうだものね」という歌を選ぶことが多いわけです。そして、同じ人とカラオケに行くと、3回に1回くらいは同じ歌手の同じ歌を拝聴する機会に恵まれます。これがいわゆる「十八番(オハコ)」ですね。

問題を「立体化」することができる

まったく種類の異なる話なのですが、実は試験の過去問も出題者の十八番です。このことは大学受験でもあてはまるのですが、特に社会人が受ける資格試験で顕著にみられる傾向といえます。資格試験の場合、出題分野は特定の分野に偏っていることが多いですし、毎年基本的に過去問と同じ形式で出題されます。

そして出題者の十八番を知ることで、出題範囲に濃淡がつき、問題を「立体化」して見ることができるようになります。平板な2次元の出題範囲について、過去問を分析することで凸凹がつき、重点的に勉強すべき「範囲」と、勉強すべき「程度」が浮き彫りになるのです。

出題範囲の中から「ここは重要!」という部分が浮き上がってきたら、その後はその分野の過去問を集中的に解いていくのがグッドです。さて、なぜこういうやり方がいいのでしょうか。

話は飛びますが、京都にある龍安寺というお寺をご存知でしょうか。そこには有名な石庭があり、15個の石が配置されているのですが、どの位置から見ても石は14個しか見えない、という謎があります(1カ所、部屋の中心部から15個全部見えるところがあるらしいですが)。

これには色々な解釈がありますが、客観的な真実は1つであるけれども、見る方向によってそれぞれ見え方は異なる、ということを意味しているように、私は勝手に解釈しています(独断と偏見による解釈です。あしからず)。

そしてこの「勝手に解釈」に基づくと、これは出題範囲と過去問の関係にもなぞらえることができます。

出題範囲というものは、過去問や受験生の勉強内容によって変わるものではないですが、そこに対する視点の置き場所次第で、色々な形に見えてくるわけです。同じ知識が形を変えて出題される、と言えばわかりやすいでしょうか。

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