いつまで「直感と経験」で仕事をするのか 「その問題、経済学で解決できます。」の共著者に聞く

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まとめると、この本で僕たちは、現実の世界でちゃんとうまくいく行動経済学に基づく戦略を語り、そういう戦略で間違いなく結果を出せるよう、テストするにはどうすればいいかを論じているのです。

エンジニアの直感で作った飛行機に乗りたいですか

ウリ・ニーズィー:カリフォルニア大学サンディエゴ校経済学部教授
イスラエルで生まれ育つ。テルアビブの通りでの経験を通じて応用ゲーム理論を身につける。カリフォルニア大学サンディエゴ校のレイディ・スクール・オブ・マネジメントで、エプスタイン/アトキンソン寄付講座経済学及び戦略担当教授を務める。

――本書には「ランダム化実地実験」という言葉何度も出てきます。どんなものなのでしょうか。

実験は、条件をひとつずつ変えていって、それぞれの条件の変化がもたらす影響を調べる方法です。ランダム化実地実験では、そういう変化に実際に影響を受ける人たちに対して、このやり方を用います。

普通、実験の対象になる人たちが、自分が実験に参加していることにさえ気づかないようなやり方をします。今こうしている間にも、読者のみなさんには僕たちの実験に参加してもらってるかも。

人が本物の意思決定を下すのを観察することで、どんなことが人に行動を変えさせるのか調べられるし、戦略を試したり改善したり、なんてことができますね。

――いろいろな実験をやってきて、いちばん驚いた発見はなんでしょうか。

仕事のやり方という面で、ランダム化実地実験という方法を使っている会社が、こんなにも少ないのがいちばん驚きでしたね。彼らは実験の代わりに、直感だの過去の経験に基づくノウハウだの、そういうのを信じて仕事をしてるわけです。

でも、テスト飛行もやってなくて、エンジニアの直感だの経験だのだけで作った飛行機なんて、ぜったい乗りたくないでしょ。

――そんな飛行機は乗りたくないですね。やはり、企業も政府ももっとテストしてみる必要がありますね。次は教育について伺います。女の子は周りの人たちや社会から、負けず嫌いにならないようにしつけられている、だから女の子は男社会の競争でなかなか勝てない、本書はそう述べています。では、そもそもどうして、歴史的にも世界的にも、ほとんどの社会は男社会になったのでしょうか。

歴史学者や人類学者が、長年、この疑問を解決しようと研究してますね。簡単な答えのひとつに、男のほうが肉体的に女よりも強い、だから戦いに出かけていくのは男だった、という説があります。今どき、戦争なんてあんまり重要ではなくなったかもしれませんが、進化の途中ではそういうことが重要だったのです。

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