ユニクロが挑む野菜、靴に続く「3度目の正直」 "GU"で静かに進む新規ビジネスの実験

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過去2回は残念ながら成功したとは言えません。最初の挑戦は2000年代。ファーストリテイリングは、エフアール・フーズという子会社をつくり、高品質で安価な生鮮野菜を家庭に届けるという事業に乗り出しました。

ネットで生鮮野菜の通販に挑んだが…

自然本来の持つ力を引き出すという『永田農法』を駆使する『永田農耕研究所』と業務提携し、2002年11月にネットで生鮮野菜の通販事業を開始し、2003年には銀座松屋をはじめ東京近郊の数店舗で店舗展開していました。ユニクロ同様に企画、生産、物流、販売の自社一貫コントロールを試みました。

ところが工業製品とは全く勝手の違う、手間暇のかかる農作物の生産効率の悪さに、安定的な商品供給ができず、2004年3月にわずか1年半余りで、事業解散に追い込まれます。

もう一つの挑戦は靴です。2010年8月に、「靴屋のやる靴屋」でなく「洋服屋の考える靴屋」」をやっていくと宣言。「キャンディッシュ事業」と名付けて展開を始めました。

もともとファーストリテイリングは2005年「ワンゾーン(旧・靴のマルトミ)」を買収したほか、2006年には「ビュー・カンパニー」へ出資。これらの靴会社をキャンディッシュへ統合したのです。2010年4月にはユニクロ店内でのシューズ販売をするユニクロシューズも発表していました。

これも大きくはブレークしませんでした。ユニクロ同様に企画、生産、物流、販売の自社一貫コントロールを試みたものの、もともと多かった不採算店のリストラが進まなかったのに加え、5ミリ間隔でそろえる靴の在庫展開もユニクロの経営手法とは合いませんでした。キャンディッシュ事業も2011年8月に、事業撤退を余儀なくされます。このときは、靴屋を営む関係団体者がこぞって胸をなでおろしたというのは、ファッション業界では有名な話です。

一方、ユニクロの同業でありライバルでもあるZARAやH&Mにも靴コーナーがあり一定の根強いファンがいます。靴はアパレル事業を営むには切っても切り離せないアイテム。ひとまずはユニクロシューズを細々と続けることで、次の展開を模索しているようです。

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