「イヤな奴だった」自暴自棄だった僕を変えたもの 友達がくれる給食のパンを持ち帰った幼少期

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周囲に弱みを見せられず、つねに強がっていた潤也さんですが、心はいつもギリギリでした。大人たちのなかには、潤也さんに聞こえるところで「あの子と遊んだらあかんで」などとわが子に告げる親もいて、普段は怒りで対処できるのですが、気分が落ち込んでいるときなどは「生きていてもしょうがない」と感じることも多かったのです。

「近所に片側3車線の大きな道路があって、よく母とケンカして夜中に家出したとき、その道路の真ん中を車に向かって歩くんです。自分のなかで気持ちが壊れそうになるから、自衛手段として、身体ごと壊そうと思ったのかもしれません。だからもう車に当たって終わりにしたい。当たったらしめたものだ、と思ってやっているんですけれど。

でもやっぱり皆さん、避けてくれたり、人によっては声かけてくれたりもするんですよね。そういう人にも僕はケンカ腰でいく(苦笑)。運転されてる方が『何やってるんだ』って怒るのは当たり前なのに、『こいつもわかってくれてない』と思う。『夜中、こんなところに子どもがいるのは何でだろう?』という背景まで、なんで考えられないんだ?と思っちゃう。いま思うと、勝手な理屈なんですけれど」

せっかく親切に声をかけてやったのに生意気なガキだ、と思った大人もいたことでしょう。でもその親切心は、意外とちゃんと、当の子どもに届いていたのかもしれません。潤也さんは、声をかけてくれた大人がいたことも、しっかりと覚えているのでした。

穏やかな友人らと出会い、行動が落ち着き始めた

中学に入ると、潤也さんは少し変わり始めます。当時の中学はひどく荒れていたこともあり、自由に振る舞っているとほかの生徒から「ガツンとやられる」ので、ちょっと「自分を抑え気味になった」のです。

途中でバスケ部に入ったことも、ひとつの契機になりました。あるとき、父親から「帰宅部」であることを責められて激しい口論となり、売り言葉に買い言葉で、当時一番厳しかったバスケ部に入部することに。

次ページ「父親への反発心で入ったけれど、結果的には面白くて」
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