「ゼクシィ」は、なぜここまで強いのだろうか 恋活新サービスに花嫁応援の本気度を見た

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神本:ただ、「花嫁にとって役立つか」ということについてブレないようにしています。そこは外してはいけません。面白いだけではダメなのです。

常見:変な話ですけど、『ゼクシィ』は広告媒体じゃないですか。振り切った提案をクライアントが認める、ということは担当営業も納得している。やはり編集部への信頼感があるのでしょうね。

神本:ありがとうございます。花嫁の役に立つことだから、ということに強くこだわっているから、任せてもらえるのだと思います。

結婚のゆくえ

常見:「役立つ」ということにひたすらこだわっている。当たり前のようで、すごいことだと思います。リクルートグループ全体は、はたから見ているとひたすら効率化を目指しているように見えます。手離れのよさと。それとは真逆を行っているように見えましたが、それが支持されているのだと思いました。今後の結婚のゆくえはどうなるのでしょうかね。

貝瀬:結婚にはビジョンが必要な時代になっていると感じます。

常見:ビジョン!ときめきではない、と。

貝瀬:そうです。恋愛の延長で、好きだからという理由で、ときめきで結婚するのではなく、どんな家庭にしたいか、なぜ結婚するのかなどのビジョンが必要な時代です。離婚は減っていくのではないですかね。

常見:私、それは賛成なのですよね。ときめきも必要ですけど、先行き不透明なリスク社会においてはまず、生活のために結婚しろ、と。そういうプリミティブな結婚への回帰というのは否定してはいけないと思うのです。

貝瀬:家事も仕事もともに支え合うというのは一般化していくのではないですかね。日本の今の社会に必要だと思っています。生活像を意識して考えることが。会社がすべてという時代から、家庭を大切にするということが日本の夫婦で当たり前になってきているのではないかと思っています。幸せな結婚を増やすために、仲介の役割をしっかり果たしていきたいなと思っています。

伊藤:別な観点から言うと、以前は家と家の結婚を象徴するような結婚式のスタイルが主流でした。今はシェアド婚といって、お互いに気持ちを共有しあい、全員がファミリーのようになって和気あいあいと楽しむスタイルが多いですね。私たちファミリーだよねということを分かち合う場になっていると思います。

常見:はい、最近、若い人の結婚式に呼ばれると、仲間と仲間を紹介しあう場になっているなと感じます。それこそ、EXILEグループとAKBグループの集会のような、決起集会のような(笑)。

伊藤:あとは、LGBT(性的少数者)婚の紹介を『ゼクシィプレミア』として取り組んできましたが、そのような多様化が少しずつ普通になってきていますね。誌面でもこれはLGBT婚ですよという大特集ではなく、自然に、一事例として取り上げています。男性2人同士でも、びっくりせずに、ごく普通に、と。

常見:幸せな結婚を増やしたいという熱を感じる時間でした。ありがとうございました。

 私は今回、いち物書きとして感動した。なんせ、彼ら彼女たちが『ゼクシィ』とその関連サービスに対してマジだからだ。メディアは熱量だと思う。その熱量をひしひしと感じた。
 OBとして最近のリクルートはやたらと効率化が進んでいるなと思っていたが、このように華やかに見えて、泥臭い努力で成り立っているメディアがあって嬉しい。諸君、結婚は、いいぞぉ。(『北斗の拳』のアミバ様風に読むこと)
常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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