「ベラベラ喋らない人」ほどうまくいく納得理由 「いや」「でも」合戦を終わらせた"ある方法"

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聞く努力は、いつでも、誰にでもできます。

会話を盛り上げるのが得意ではなかったり、話術に自信がなかったりしても大丈夫。

面白い話のネタがあるとか、冗談がうまいとか、気の利いた返しができるといったことは、それほど重要ではありません。

豊富な知識や経験、うんちくは聞き手にとってかえって邪魔なくらいです。

他人の話を聞いたり、あるいは読んだりしているとき、頭には言いたいことや自分の考えがどんどんわいてきます。あなたの頭の中が言いたいことでいっぱいだとしたら、受容・共感・自己一致で聞く力が何倍にも大きくなるでしょう。

アメリカの経営コンサルタント、スティーブン・R・コヴィー氏は世界的ベストセラー『7つの習慣』の中でこう語っています。

「人が話をしているとき、ほとんどの人は、理解しようと聞いているのではなく、答えようとして聞いている」

話をうまく聞けない人は、たいてい頑張って話しすぎています。

人は本来、話したくて仕方ないもの。あなたの周りにも、「もっと話したい」「もっと聞いてほしい」という人がたくさんいるかもしれません。あなたに聞いてもらうのを、待っているのです。

「話を聞ける」ことは、あなたにとって強力な武器になります。

それだけでビジネスもマネジメントも、プライベートな人付き合いもうまくいきます。積極的に話すよりも、むしろ聞くことで成功している人は少なくありません。

「何でも話してもらえる人」になる

話を聞くことの価値については、ピーター・F・ドラッガーも『非営利組織の経営』でこう書いています。

「多くの人が、話し上手だから人との関係づくりは得意だと思っている。対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない」

『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

またD・カーネギーの『人を動かす』には、こうあります。

「話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たなければならない」

「何でも話してもらえる人」になる。

それは信頼されることであり、相談されることであり、頼りにされ、仕事が集まることでもあります。

話を聞くことは、普段から当たり前に「できている」と思いがちです。

そして多くの人が、聞くことより話すことに意識を支配されています。

だからこそ、ほんの少し意識を変えるだけでも、あなたには大きな気づきとメリットがもたらされるはずです。

山根 洋士 心理カウンセラー、メンタルノイズ心理学協会会長

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やまね ひろし / Hiroshi Yamane

両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経て、情報誌編集者からノンフィクションライターとして独立。金銭的な成功をつかむものの、激務のあまり過労死寸前で緊急入院。入院生活で「なんのために生きるのか」を模索し、心理療法を学び始める。心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いからカウンセラーになる。実践中心のカウンセリングで一線を画し、8000人以上の悩みを解決。著書『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)がメンタル本大賞2021優秀賞を受賞。

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