大臣在任の367日はびっくりの連続だった--『招かれざる大臣』を書いた長妻昭氏(前厚労相、衆議院議員)に聞く

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大臣在任の367日はびっくりの連続だった--『招かれざる大臣』を書いた長妻昭氏(前厚労相、衆議院議員)に聞く

厚生労働大臣として官僚組織に挑んで、悪戦苦闘の在任367日。「古い役所文化」「古い政治文化」をいかに変えるのか。「初志貫徹」に揺るぎがない。

──大臣を退任して5カ月、生活は一変ですか。

大臣時代は、主体的に自らスケジュールを立てるというより、分刻みで提示された予定をこなしていく形。イベントも多かった。夜は決裁に費やし、その中身について議論する。土曜出勤もけっこうあった。

国会議員は自営業者の集まりみたいなものだ。政権与党の一議員となった今は、どう役割を果たすか。筆頭副幹事長として党の一体性を保って政策を実行し、政治改革推進本部の事務総長、行政刷新プロジェクトチームの座長としての役割もある。古い政治文化、古い役所文化を直していかなければいけない。

──大臣在任中は驚きの連続だったようですね。

野党時代に役所や官僚についてよく知っていたつもりだったが、「奥の院」に入ってみると、びっくりすることばかり。大げさでなく、1時間おきにびっくりするような1年だった。

今までの大臣は、官僚が作った仕事の作法に従って職務を行ってきた。出すぎたまねをしないで、官僚のおみこしの上の「お飾り」となる形での作法がこれまでだった。

──官僚からの答弁案レクチャーで、目を白黒されたとか。

朝9時から国会がある日は6時から主に課長のレクチャーを受けた。意に沿わない答弁案があって、変えると言ったら、その課長は「上司の許可がないと変えられない」と言う。上司は俺ではないのかと。それからは担当局長にも来てもらった。

国会答弁で話したことは、大臣自身の責任になるだけでなく、役所の方針でもある。今までの大臣は官僚が振り付けた作法で済ませ、同時に役所のマネジメントは事務次官に任せていた。大臣は、方向性と対外交渉での最高アドバイザーという位置づけだ。答弁案も「調査できない」「取り組むことは難しい」というものが少なくない。自分たちのテリトリーに触
るな、という発想だった。

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