コンビニ×高級チョコ・ゴディバ&セブン−イレブンの戦略《それゆけ!カナモリさん》

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 一方、「買う側」に目を移してみると、「コンビニスイーツ」に「払ってもいい」と考える金額(カスタマーバリュー)は7割強が300円を上限と考えている。(ORIMOモバイルリサーチ調べ)

上限300円の壁を突破し、プラス100円以上の価格を払ってもらおうと思った時、必要となるのは「ブランド」だ。それが「銀座千疋屋」であり、「ゴディバ」なのだ。

では、ゴディバにはどのようなメリットがあるのか。

■リスクと裏合わせ、ゴディバの販促戦略

 それは、「間口拡大」だ。ゴディバは「価格が高いため百貨店などでゴディバの製品を購入する客層は40~50歳代が中心」(ワールドビジネスサテライト2010年4月7日放送より)だという。

ターゲットの何が問題なのか。中高年は健康の問題などで、食生活を変えることもある。また、販売拠点としての百貨店は店舗数と来店客数の右肩下がりが続いている。従来の顧客層と販売チャネルだけで勝負していれば、やがて限界が訪れることは目に見えている。

ゴディバがコンビニエンスストア以前に展開をはじめた販売チャネルの間口拡大策は、「駅ナカ」への展開だ。ターミナル駅なら、JR新宿駅西口の小田急百貨店側改札近く。郊外駅なら東武線柏駅の駅ナカ。その他の駅にも全国6店舗を展開すると昨年発表。ゴディバジャパンの担当者は「新しい客に買ってもらう場所の選択肢に駅ナカがあっても良い」と語っている(同番組)。

セブン−イレブンの店舗数は全国1万2100店。200店規模の自社チャネルや徐々に展開していく駅ナカと比べれば、格段に市場のカバレッジを高め、既存顧客層以外の新たな顧客層へリーチ(到達)することができる。

既存顧客との「接触頻度」も高めることとなる。ギフトではなく「自分買い」。狭小スペースに品目を絞り込んで展開する駅ナカの品揃えは、少量個包装タイプを中心とした「自分買い用」をコンセプトとしていると思われる。

セブン−イレブンとの展開ではさらにそれを推し進めている。バレンタイン&ホワイトデー用ギフトではなく、アイスクリーム棚のカップアイスとアイストリュフ2粒入りは、そうした需要を取り込む武器なのだと解釈できる。今まで、百貨店店舗まで足を運んで購入し、保冷剤を加えて持ち運んだ不便なく、地元駅でいつもの会社帰りに「自分にご褒美」できるという利便性の提供である。

 

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