大型新規上場、大塚グループが直面する2015年の試練

モルガン・スタンレーMUFG証券は、投資判断を「オーバーウエート」(最上位の投資判断)、目標株価を2500円としている。同社の村岡真一郎アナリストは現在の株価が初値を下回っていることについて、「同社が市場との距離を十分に詰め切れていないことが理由だ」と指摘。「製薬業界では成長性のある企業であり、株価は明らかに割安だ」と話す。

これに対してクレディ・スイス証券は投資評価をニュートラル(中立)、目標株価を2200円に設定。同社の酒井文義アナリストは「15年の米国での特許切れに伴い、収益が急減するリスクがあるため、株価の上昇余地は限定的」と分析する。

エビリファイの全世界の連結売上高(10年3月期)のうち米国は3056億円。実に8割超を占める。それゆえ、エビリファイの米国特許切れおよびジェネリック医薬品(後発医薬品)参入による売り上げ侵食への対応策の成否が、大塚HDの評価を左右することになる。

そこで大塚グループは二つの方策を準備している。一つは「ライフサイクルマネジメント」(適応症拡大、剤形追加)と呼ばれる、エビリファイの製品価値増大戦略。その一環としての「持効性注射剤」の開発だ。毎日服用する従来の経口薬とは異なり、月1回の注射で効果を発揮するという新たな製剤で、現在、米国および日本や欧州で最終段階のグローバルフェーズ�臨床試験が行われている。

持効性注射剤については、よいニュースもある。フェーズ�試験の中間解析で有効性に関する基準を達成したことにより、11年内に米国食品医薬品局(FDA)に承認申請を行うと昨年10月に発表。当初の計画よりも前倒しで発売できる可能性が高まっている。

村岡氏はこの持効性注射剤の商品価値を高く評価。「フェーズ�のデータは未発表であるものの、順調に進めば、同じ持効性注射剤である米ジョンソン&ジョンソン製品並み、またはそれを上回る10億~20億ドルの売り上げが期待できる」(同氏)。

もう一つが、ポストエビリファイと位置づけられている新薬OPC−34712の開発だ。エビリファイと同じ作用メカニズム(ドパミンパーシャルアゴニスト)の薬剤で、エビリファイよりも高い安全性、服用における長期の有用性などを特長としてグローバルフェーズ�試験が進められている。

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